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簿記と仕訳の本質

簿記(会計との違い)と仕訳の仕方(仕訳の基本的な思考法)を巡る主観的考察

このページでは簿記(会計との違い)と仕訳の仕方(仕訳の基本的な思考法)について解説する。

簿記とは、帳簿に資産の増減(お金のやり取り)を記録することをいい、それ以上でもそれ以下でもない。

そして、仕訳はその記録をするための技術である。

そこで、仕訳の仕方が問題になるが、仕訳をする前提として、まずバランスシート(貸借対照表)を頭の中でイメージする。

バランスシートとは、左側(借方)に記載される資金の運用を表す資産、そして、右側(貸方)に記載される資金の調達を表す負債(他人資本)と資本(自己資本。純資産)の3つの部からなる一覧表である。

実は、このバランスシートの書き方自体にすでに仕訳の本質が表されている。

仕訳はこのバランスシート(資産=負債+資本)の増減を記録していくための技術だからである。

なお、このうち資本は①株主の出資金(つまり、資本金)と②利益からなることに注意する。

資本 = 資本金 + 利益

利益は貸借対照表上では「利益剰余金」と表示される。

利益は企業の経営活動により生じたものであるが、会計理論上はこのように利益は資本の増加分として資本を構成するものと考える。

つまり、企業が稼ぎ出した利益はその企業自体や社員のものではなく、株主のものであるという考え方である。

さて、このバランスシート(簿記で仕訳という技術を使って記録・集計した結果)には次の2つの原則がある、とされる。

  1. 取引の二重性
  2. 貸借平均の原則

原因があって結果がある、つまり、無から有が生じることはないという取引の二重性、そして、何かを得る(減らす)には必ず同等の何かを減らして(増やして)いるという貸借平均の原則の2つが仕訳の本質とされているわけである。

以上を前提にしたうえ、仕訳を行う際の思考の過程を分解すれば、次のようなステップを踏むことになる。

  1. 資産増減の認識
    まず、第一に現金・預金などの資産の増減(資金の運用)を認識することからスタートする
  2. 資産増減の原因の認識
    次に、この資産の増減は①負債や別の資産の増減(=資本取引)、または②資本の増減(=損益取引)のどちらによるものか(資金の調達)を判断する(たとえば、現金が増えたが、それは返済を要するもの=負債か、または、自分のものにして良いもの=資本か)
    1. 資本取引が原因
      資産の増減が負債や別の資産の増減による場合(たとえば、現金が増えたが、それは銀行から借り入れたものであった(負債の増加)、または、現金が増えたが、それは銀行から引き出したものであった(資産の減少)等)
      → 貸借対照表のみで完結する
    2. 損益取引が原因
      資産の増減が資産・負債ではなく、それ以外の資本の増減による場合(たとえば、現金が減ったが、それは事務用品を購入した(=資本)ためであった等)は、さらにその資本の増減理由(=収益または費用)まで判断する
      → 収益・費用の認識が必要になり損益計算書も登場する
      1. 資本増加 → 収益(売上など)
      2. 資本減少 → 費用(経費など)

なお、上記の思考過程の「2-2」の場合においては、貸借対照表のみならず損益計算書まで登場させて、さらに資本の増減理由まで判断している(つまり、収益・費用まで認識している)。

資本と資本の増加分を区別せずに資本として一括りにする(つまり、貸借対照表だけで完結させる)仕訳は可能である。

この場合、勘定科目の5つのグループ(資産・負債・資本・収益・費用)のうち登場するには資産・負債・資本の3つのグループだけということになる。

しかし、一般に簿記は企業の経営活動を記録し、投資家・債権者・税務署などの利害関係者に企業の財政状態(貸借対照表)と経営成績(損益計算書)を報告する(ディスクロージャー・情報開示)ことを目的としている、とされるが、なかでも資本の増加分としての利益の計算が最も重要である。

たとえば、法人税などの課税対象は資産ではなく、利益である。

したがって、資本として一括りにするのではなく、その内訳である資本金(株主の出資金)と利益とを峻別するために損益計算書で収益・費用の認識をすることになる。

資本は①資本金(株主の出資金)と②利益(資本金の増加分)から構成される。

資本取引と損益取引の関係の歴史的考察

資本取引から損益取引へ

複式簿記は、本来は増加した財産(実在勘定)と減少した財産(実在勘定)を左右に併記する(→取引の二重性)ことにより、均衡を保ち(→貸借平均の原則)、財産を管理しようというものである(→資本取引)。

たとえば、現金で土地を買った場合、増加した財産(土地)と減少した財産(現金)は均衡し、貸借平均の原則が成り立つ。

したがって、特に貸借対照表における均衡性は決定的事実である。

リトルトン 『会計発達史[増補版]』 同文館出版、2002年、43項。

しかし、たとえば、安く仕入れた商品が高く売れた場合には、増加した財産と減少した財産の均衡性が破られ、貸借平均の原則が成り立たなくなる。

そこで、考え出されたのが名目勘定=損益計算書の勘定科目であり(→損益取引)、これにより貸借対照表と損益計算書のすべての勘定を通して貸借平均の原則が維持されることになった。

執筆者:ケーソルーション(2006年より本サイト運営)
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  1. 簿記と仕訳の本質
  2. 複式簿記
  3. 複式簿記の原則①取引の二重性
  4. 複式簿記の原則①取引の二重性―借方と貸方
  5. 複式簿記の原則②貸借平均の原則


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