為替差益
為替差益とは
為替差益勘定の定義・意味
為替差益とは、外貨建ての資産・負債について、決済時または決算時に円換算を行う際、為替レートの変動により生じた差額のうち利益となる部分を処理するための収益勘定をいう。
為替差益勘定の目的・役割・意義など
外国通貨や外貨建て債権債務については、取引時の為替レートでその都度会計処理を行う。
たとえば、1ドル100円の為替レートのときに発生した外貨建て売掛金10ドルは、帳簿には1,000円と記帳する。
しかし、決算時に為替レートが1ドル120円となった場合には200円の利益が発生することになる。
この利益は本業によるものではなく為替変動によるものであるため、為替差益勘定で区分して処理する。
法人・個人の別
法人・個人
為替差益は法人・個人で使用される勘定科目である。
為替差益の反対概念
為替差損
為替相場の変動により差損が生じた場合は、為替差損科目で処理をする。
なお、為替差益を為替差損と相殺して為替差損益とする場合もある。
為替差益の注意点
為替差益になるのか、為替差損になるのか混乱しやすいが、一般に
- 外貨建債権:円安で為替差益
- 外貨建債務:円高で為替差益
という関係にある。
為替差益の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書>経常損益の部>営業外損益の部>営業外収益>為替差益
区分表示
営業外収益
為替差益は、通常は営業外収益に区分表示される。
営業外収益に区分表示されるのは、為替差益は本業の成果ではなく、為替変動という外部的要因によるものであり、また、継続的な収益ではないからである。
為替差益の会計処理
為替差益の使用する勘定科目・仕訳の仕方
為替差益は、為替レートの変動によって外貨建取引の円換算額が変動することにより発生する。
為替差益は、その発生タイミングにより次の2つに区分される。
1.決済時に生じる為替差益(実現)
外貨建の債権・債務を決済した時点で、取引発生時の為替レートと決済時の為替レートとの差により為替差益が発生する。
たとえば、外貨建売掛金(債権)の場合、決済時に円安となっていれば回収額の円換算額が増加するため、為替差益が生じる。
一方、外貨建買掛金(債務)の場合は、決済時に円高となっていれば支払額の円換算額が減少するため、為替差益が生じる。
利益が出た場合には「為替差益」、損失が出た場合には「為替差損」と勘定科目を使い分ける。
2.期末換算により生じる為替差益(未実現)
外貨建の債権・債務は、決算日において当該時点の為替レートで円換算する(期末換算)。
このとき、取引発生時または前回換算時の為替レートとの差により評価額が変動し、その差額として為替差益が発生する。
たとえば、外貨建売掛金(債権)の場合、決算日に円安となっていれば資産の円換算額が増加するため為替差益が生じる。
また、外貨建買掛金(債務)の場合は、決算日に円高となっていれば負債の円換算額が減少するため為替差益が生じる。
なお、期末に差益と差損を相殺して純額表示とする場合もあり、この場合には前述した為替差損益勘定を用いて処理することもある。
ただし、期末換算による為替差益は実際の決済を伴わないため現金が増えたわけではなく、仕訳を行っても未実現の損益であることに注意を要する。
為替差益の取引の具体例と仕訳
外国通貨の場合

保有していた100米ドル(取得時1ドル100円)を銀行で日本円に換金したところ、為替レートは1ドル120円となっていた。

| 現金 | 2,000 | 為替差益 | 2,000 |
外貨建て債権債務の場合(時系列)
①売上計上時

- 外貨建売上:1,000ドル
- 売上時レート:1ドル=100円

売上計上時は取引時の為替レートで円換算する。
| 売掛金 | 100,000 | 売上 | 100,000 |
②決算時(期末換算)

- 外貨建売上:1,000ドル
- 売上時レート:1ドル=100円
- 決算時レート:1ドル=110円

決算日において外貨建売掛金を期末レートで評価する。
1,000ドル × 110円 = 110,000円 となるため、帳簿価額との差額 10,000円 が為替差益となる。
| 売掛金 | 10,000 | 為替差益 | 10,000 |
この為替差益は未実現である。
③ 翌期決済時

- 外貨建売上:1,000ドル
- 決算時レート:1ドル=110円
- 決済時レート:1ドル=120円

実際の回収時は決済時レートで円換算する。
1,000ドル × 120円 = 120,000円 となるため、帳簿価額との差額 10,000円 が追加の為替差益となる。
| 現金 | 120,000 | 売掛金 | 110,000 |
| 為替差益 | 10,000 |
為替差益の税法上の取り扱い
収入金額・益金算入の肯否
期末換算による為替差益については、原則として収入金額(所得税法。個人事業主の場合)※・益金(法人税法。法人の場合)に算入され、課税対象になる。
※これに対して、為替差損については、必要経費になるとは限らない。つまり、個人事業主では損失側(必要経費)の扱いが制限されているので注意を要する。
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、為替差益は資産の譲渡等の対価ではないため、消費税の課税対象外である。
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