その他資本剰余金
その他資本剰余金とは
その他資本剰余金の定義・意味など
その他資本剰余金(そのたしほんじょうよきん)とは、資本準備金以外の資本剰余金を処理するための純資産(資本)勘定をいう。
法人・個人の別
法人
その他資本剰余金は法人特有の勘定科目である。
その他資本剰余金の範囲・具体例
その他資本剰余金勘定で処理するものとしては次のようなものがある。
- その他資本剰余金
- 資本金及び資本準備金減少差益
- 資本金減少差益(減資差益)
- 資本準備金減少差益
- 資本準備金の剰余金組入れ
- 自己株式
- 自己株式の処分
- 自己株式処分差益
- 自己株式処分差損
- 自己株式の消却
- 自己株式の処分
- 剰余金の配当
- 資本金及び資本準備金減少差益
資本金及び資本準備金減少差益
資本金の減少または資本準備金の減少により剰余金が生じた場合である。
剰余金の配当
その他資本剰余金は資本取引から生じた剰余金であるが、会社法ではその他利益剰余金とともに剰余金の配当の原資とされている。
自己株式
自己株式の処分
自己株式処分差益・自己株式処分差損
自己株式の処分の際に生じた自己株式処分差額(売却益または売却損)である。
自己株式の消却
自己株式を消却した場合は、その帳簿価額をその他資本剰余金勘定から減額する(詳細は後述)。
その他資本剰余金の決算等における位置づけ等
その他資本剰余金の財務諸表における区分表示と表示科目
貸借対照表 > 純資産の部 > 株主資本 > 資本剰余金 > その他資本剰余金
ただし、連結財務諸表ではその他資本剰余金は表示されない。
区分表示
資本剰余金
その他資本剰余金は、貸借対照表の純資産の部において、株主資本の内訳として表示されるが、そのうち資本剰余金として区分表示される。
企業会計基準第5号
貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準
純資産の部の表示
…
6. 個別貸借対照表上、資本剰余金及び利益剰余金は、さらに次のとおり区分する。
(1) 資本剰余金は、資本準備金及び資本準備金以外の資本剰余金(以下「その他資本剰余金」という。 )に区分する。
表示科目
その他資本剰余金
財務諸表等規則で、その他資本剰余金に含まれる各剰余金は、その内容を示す名称を付けて表示しなければならないとされている。
したがって、資本金減少差益、資本準備金減少差益、自己株式処分差益など、その内容に応じた名称を付して表示する。
ただし、実務では、その他資本剰余金については、個々の発生原因ごとに細分して表示するのではなく、「その他資本剰余金」として一括表示する場合もある。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(資本剰余金の区分表示)
第六十三条 資本剰余金に属する剰余金は、次に掲げる項目の区分に従い、当該剰余金の名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。
一 資本準備金
二 その他資本剰余金(資本準備金及び法律で定める準備金で資本準備金に準ずるもの以外の資本剰余金をいう。)
その他資本剰余金の会計・簿記上の取り扱い
会計処理
使用する勘定科目・仕訳の仕方
資本金の額の減少によって生ずる剰余金
資本金の減少により資本の欠損をてん補する場合には、資本金の減少額を資本金勘定の借方に記帳し、そのうち欠損のてん補に充てた額を繰越利益剰余金勘定の貸方に記帳する。
ただし、資本期の減少額がてん補に充てた額を超える場合には、その超過額はその他資本剰余金勘定の貸方に記帳して、その他資本剰余金に計上する。
企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金
20. 資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金は、減少の法的効力が発生したとき(会社法第447条から第449条)に、その他資本剰余金に計上する。
資本準備金の剰余金組入れ
資本準備金の額を減少して(資本準備金を取り崩して)剰余金に組み入れた場合はその他資本剰余金に計上する。
企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金
20. 資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金は、減少の法的効力が発生したとき(会社法第447条から第449条)に、その他資本剰余金に計上する。
剰余金の配当
株主総会の決議(利益配当の場合)または取締役会の決議(中間配当の場合)により、その他資本剰余金を原資とする剰余金の配当を決議した場合は、未払配当金勘定(負債)の貸方に記帳し、また、その配当金の1/10を利益準備金勘定の貸方に記帳する。
自己株式の処分
自己株式・その他資本剰余金
期中、自己株式を処分したときはその帳簿価額を自己株式勘定の貸方に記帳して減額する。
会社計算規則
第二十四条 …
2 株式会社が自己株式の処分又は消却をする場合には、その帳簿価額を、減少すべき自己株式の額とする。
そして、自己株式の処分の対価と自己株式の帳簿価額とに差額(=自己株式処分差額)がある場合は、自己株式処分差益はその他資本剰余金に計上し、自己株式処分差損はその他資本剰余金から減額する。
なお、その他資本剰余金から減額しきれない場合は、さらに繰越利益剰余金から減額する。
つまり、自己株式の処分は株主との資本取引と解されているので、その自己株式処分差額は損益計算書に計上せず、貸借対照表の純資産の部のその他資本剰余金を直接増減する。
企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
9. 自己株式処分差益は、その他資本剰余金に計上する。
10. 自己株式処分差損は、その他資本剰余金から減額する。
なお、自己株式の処分に要した手数料などの付随費用は、株式交付費勘定などで繰延資産として処理をするのではなく、支出時に支払手数料などの費用勘定の借方に記帳して費用処理をし、損益計算書では営業外費用として計上する。
企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
自己株式の取得、処分及び消却に関する付随費用
14. 自己株式の取得、処分及び消却に関する付随費用は、損益計算書の営業外費用に計上する。
実務対応報告第19号 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い
(1) 株式交付費の会計処理
株式交付費(新株の発行又は自己株式の処分に係る費用)は、原則として、支出時に費用(営業外費用)として処理する。
自己株式の消却
自己株式・その他資本剰余金
期中、自己株式を消却した場合は、消却手続が完了したときに、消却の対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額する。
具体的には消却の対象となった自己株式の帳簿価額を自己株式勘定の貸方に記帳するとともにその他資本剰余金勘定の借方に記帳する。
企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
自己株式の消却
11. 自己株式を消却した場合には、消却手続が完了したときに、消却の対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額する。
会社計算規則
第二十四条 …
2 株式会社が自己株式の処分又は消却をする場合には、その帳簿価額を、減少すべき自己株式の額とする。
なお、自己株式の消却に要した手数料などの付随費用は、支出時に支払手数料などの費用勘定の借方に記帳して費用処理をし、損益計算書では営業外費用として計上する。
企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
自己株式の取得、処分及び消却に関する付随費用
14. 自己株式の取得、処分及び消却に関する付随費用は、損益計算書の営業外費用に計上する。
取引の具体例と仕訳
資本金の額の減少によって生ずる剰余金

欠損800万円が生じているので、資本金のうち1000万円を減少し(資本金1000万円を取り崩して)、欠損をてん補した。

| 資本金 | 1000万円 | 繰越利益剰余金 | 800万円 |
| その他資本剰余金 | 200万円 |
資本金の額の減少による剰余金の配当(有償増資)

資本金のうち1000万円を減少し、剰余金の配当800万円を行った。

| 資本金 | 1000万円 | 現金預金 | 800万円 |
| その他資本剰余金 | 200万円 |
資本準備金の剰余金組入れ

資本準備金の額を減少し(資本準備金を取り崩して)、剰余金に組み入れた。

| 資本準備金 | ×××× | その他資本剰余金 | ×××× |
その他資本剰余金を原資とする剰余金の配当

株主総会の決議により、その他資本剰余金を原資として1000万円の剰余金の配当を決議した。また、それに伴い、その1/10を利益準備金に繰り入れた。

| その他資本剰余金 | 1100万円 | 未払配当金 | 1000万円 |
| 利益準備金 | 100万円 |
自己株式の処分

自己株式100万円を150万円で売却した。なお、売却には手数料として1万円を要した。

| 普通預金 | 1,490,000 | 自己株式 | 1,000,000 |
| 支払手数料 | 10,000 | その他資本剰余金 | 500,000 |
自己株式の消却

保有している自己株式100万円を取締役会決議により消却した。

| その他資本剰余金 | 1,000,000 | 自己株式 | 1,000,000 |
その他資本剰余金の税法上の取り扱い
必要経費算入・損金算入
その他資本剰余金は資本取引に該当するため、その発生や振替によって損益は生じず、益金または損金には算入されない。
ただし、その他資本剰余金を原資として株主に分配を行う場合には、税務上は資本の払戻しとして取り扱われ、みなし配当の判定等が必要となる。
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
その他資本剰余金に係る取引(出資、配当、資本の払戻し等)は対価性を有しない資本取引であるため、消費税の課税対象とはならず、不課税取引となる。
執筆者:ケーソルーション(2006年より本サイト運営)
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