修繕引当金
修繕引当金とは 【reserve for repairs】
修繕引当金の定義・意味など
修繕引当金(しゅうぜんひきあてきん)とは、保有する有形固定資産の修繕に備えるための引当金のうち、1年以内に使用される見込みの負債勘定をいう。
法人・個人の別
法人
修繕引当金は法人・個人で使用される勘定科目であると言えるが、個人事業主にあっては引当金として計上する実益がなく、現実にはほぼ使用されていない※。
※発生時に修繕費勘定で費用処理をする。
修繕引当金の目的・役割・意義など
適正な期間損益計算
有形固定資産について、当期に行うべき修繕を次期以降に行う場合、修繕すべき原因は当期に発生しているため、修繕が行われる次期以降に費用計上すると正しい期間損益計算ができない。
そこで、次期以降に行われる修繕にかかる費用を見積り、当期の費用として計上するために設定される引当金が修繕引当金である。
修繕引当金の実務上の注意点
引当金として計上するケースは一定の条件下※に限られる(計上できる場面が限定される)。
※将来の支出が見込まれ、支出の原因が当期以前に発生しており、金額を合理的に見積もることができることなど一般的な引当金の計上要件を満たす必要がある。
また、修繕引当金は原則として損金算入が認められない。
したがって、法人においても、修繕費は発生時に費用処理されていることが多い。
修繕引当金の位置づけ・体系(上位概念等)
引当金
修繕引当金は引当金(負債性引当金)のひとつである。
引当金の代表例としては、貸倒引当金、退職給付引当金、修繕引当金がある。
企業会計原則では引当金の具体例としてこれらも含めて以下のようなものをあげている。
- 評価性引当金
- 貸倒引当金
- 負債性引当金
- 製品保証引当金(製品保証等引当金)
- 売上割戻引当金
- 返品調整引当金
- 賞与引当金
- 役員賞与引当金
- 工事補償引当金
- 退職給付引当金
- 修繕引当金
- 特別修繕引当金
- 債務保証損失引当金
- 損害補償損失引当金
- 工事損失引当金
他の勘定科目との関係
修繕引当金繰入
修繕引当金を設定する場合は、修繕引当金勘定を用いて負債計上するとともに修繕引当金繰入勘定を用いて費用計上する(後述)。
特別修繕引当金
数年に1度行われる大修繕に対しては、特別修繕引当金勘定に計上して修繕引当金とは区別する。
修繕引当金の決算等における位置づけ等
修繕引当金の財務諸表における区分表示と表示科目
貸借対照表 > 負債 > 流動負債 > 修繕引当金
区分表示
流動負債
修繕引当金は流動負債に属する。
企業会計原則
(二)負 債
…
A …。引当金のうち、賞与引当金、工事補償引当金、修繕引当金のように、通常一年以内に使用される見込みのものは流動負債に属するものとする。
修繕引当金の会計・簿記上の取り扱い
会計処理
使用する勘定科目・仕訳の仕方
期末(決算時)
修繕引当金の設定(決算整理事項)
決算において、次期以降に行われる修繕を見積り計上するときは、決算整理事項のひとつとして、修繕引当金の設定、すなわち、その見積額(繰入額)を修繕引当金繰入勘定(費用)の借方に記帳するとともに修繕引当金勘定(負債)の貸方に記帳して負債計上する。
期中
修繕費を支出したとき、修繕引当金を設定している場合は、その修繕に対して設定された修繕引当金勘定を取り崩す。
修繕費が修繕引当金の金額を越える場合には、その越える部分の金額を修繕費勘定で処理する。
取引の具体例と仕訳
期末(決算時)
修繕引当金の設定(決算整理事項)

決算にあたり、次期以降に行われる建物の修繕にかかる費用のうち当期負担分50万円の修繕引当金を設定した。

| 修繕引当金繰入 | 50万 | 修繕引当金 | 50万 |
翌期中

修繕引当金(50万円)を設定されている建物の修繕を行い、修繕費60万円を銀行振込で支払った。

| 修繕引当金 | 50万 | 普通預金 | 60万 |
| 修繕費 | 10万 |
修繕引当金の税法上の取り扱い
損金算入の可否
修繕引当金は会計のみの引当金で、税法上は修繕引当金の繰入額の必要経費・損金算入は認められていない。
したがって、修繕引当金を設定した場合は別表四において加算調整が必要になる。
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、修繕引当金の設定は内部取引なので、不課税取引として消費税の課税対象外である。
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