簿記・勘定科目一覧ハンドブック(ケーソルーション)

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売上割戻(売上割戻高・売上リベート)

売上割戻とは

売上割戻の定義・意味など

売上割戻(うりあげわりもどし)とは、一定の期間の間に特定の取引先と多額または多量に取引を行った場合にリベートとして商品代金の免除または払戻しを行ったときの免除額または払戻額を処理する勘定科目をいう。

売上割戻の別名・別称・通称など

売上割戻高・売上リベート

売上割戻は売上割戻高または売上リベートともいう。

法人・個人の別

法人・個人

売上割戻は法人・個人で使用される勘定科目である。

売上割戻の目的・役割・意義など

総額主義

売上割戻は売上から控除する割戻の額を帳簿上で明らかにする(総額主義)ために用いられる勘定科目である。

売上割戻と関係する概念

売上値引

売上割戻の基本的な性質は、売上値引と同じである。

仕入割戻

割戻については、仕入側では仕入割戻勘定を使用する。

売上割戻の位置づけ・体系(上位概念等)

売上高控除項目

売上割戻は、売上高控除項目のひとつである。

純額主義による売上高控除項目には、次のようなものがある。

  • 売上値引(値引)
  • 売上戻り(返品)
  • 売上割戻(割戻)

売上割引については、それが利息としての性格を有すること(売上割引は早期に代金を回収できたことに対する金融上の費用)から売上高から控除することはできない(つまり、純額主義による会計処理は認められていない)。

ただし、財務諸表規則第72条に明記されているのは、売上値引と売上戻りの2つだけである。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(売上高の表示方法)
第七十二条  売上高は、売上高を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。ただし、第一号の項目を示す名称を付した科目及びその控除科目としての第二号の項目を示す名称を付した科目をもつて掲記することを妨げない。
一  総売上高(半製品、副産物、作業くず等の総売上高及び加工料収入その他の営業収益を含む。)
二  売上値引及び戻り高

他の勘定科目との関係

販売奨励金

売上割戻の代わりに販売奨励金という勘定科目が使用されることもある。

交際費

売上割戻は金銭で行われるのが通常であるが、金銭に代えて物品やサービスで行われる場合もある。

この場合、一定の場合には交際費として処理されることがある。

たとえば、事業用資産以外の購入単価が3,000円を超える物品を交付した場合や、旅行・観劇に招待した場合などは、税務上、交際費とみなされる。

租税特別措置法関係通達
(売上割戻し等と同一の基準により物品を交付し又は旅行、観劇等に招待する費用)
61の4(1)-4 法人がその得意先に対して物品を交付する場合又は得意先を旅行、観劇等に招待する場合には、たとえその物品の交付又は旅行、観劇等への招待が売上割戻し等と同様の基準で行われるものであっても、その物品の交付のために要する費用又は旅行、観劇等に招待するために要する費用は交際費等に該当するものとする。ただし、物品を交付する場合であっても、その物品が得意先である事業者において棚卸資産若しくは固定資産として販売し若しくは使用することが明らかな物品又はその購入単価が少額(おおむね3,000円以下)である物品であり、かつ、その交付の基準が61の4(1)-3の売上割戻し等の算定基準と同一であるときは、これらの物品を交付するために要する費用は、交際費等に該当しないものとすることができる。

売上割戻の決算等における位置づけ等

売上割戻の財務諸表における区分表示と表示科目

表示科目
売上高の控除科目

前述したように、売上割戻は、損益計算書上では売上高の控除科目として売上高から控除して表示する。

ただし、売上割引と同様に営業外費用として処理する場合もある。

売上割戻の会計・簿記上の取り扱い

会計処理

認識基準(計上時期・期間帰属)

税務上、売上割戻の計上時期は、その算定基準の明示の有無により、次のように定められている。

  • 算定基準が相手方に明示されている場合 … 販売日
  • 算定基準が相手方に明示されていない場合 … 相手方に割戻金額を通知した日または支払った日

租税特別措置法関係通達
(売上割戻しの計上時期)
2-5-1 販売した棚卸資産に係る売上割戻しの金額の計上の時期は、次の区分に応じ、次に掲げる事業年度とする。
(1) その算定基準が販売価額又は販売数量によっており、かつ、その算定基準が契約その他の方法により相手方に明示されている売上割戻し 販売した日の属する事業年度。ただし、法人が継続して売上割戻しの金額の通知又は支払をした日の属する事業年度に計上することとしている場合には、これを認める。
(2) (1)に該当しない売上割戻し その売上割戻しの金額の通知又は支払をした日の属する事業年度。ただし、各事業年度終了の日までに、その販売した棚卸資産について売上割戻しを支払うこと及びその売上割戻しの算定基準が内部的に決定されている場合において、法人がその基準により計算した金額を当該事業年度の未払金として計上するとともに確定申告書の提出期限までに相手方に通知したときは、継続適用を条件としてこれを認める。

使用する勘定科目・仕訳の仕方

売上割戻の会計処理の方法としては総額主義と純額主義の2つの方法がある。

総額主義

割戻をしたときは、割戻分を売上割戻として費用計上(借方)するとともに、売掛金などの資産を減額(貸方)する。

純額主義

商品等の販売時の貸借反対仕訳をして売上を直接減額・控除する。

実務ではこの純額主義による方法が一般的である。

取引の具体例と仕訳

売上割戻勘定を用いて処理する方法(総額主義)

取引

取引先と多額の取引をしたので、10万円の割戻しをした。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
売上割戻 10万 売掛金 10万

売上を直接減額する方法(純額主義)

取引

取引先と多額の取引をしたので、10万円の割戻しをした。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
売上 10万 売掛金 10万

売上割戻の税法上の取り扱い

必要経費算入・損金算入の可否

売上割戻は、一定期間の取引高や販売数量等に応じて後日支払われるリベート等であり、売上の減額としての性質を有する。

個人事業主の場合、売上割戻は、その支払が確定した年分において必要経費に算入される。

また、あらかじめ契約等により割戻条件が定められており、年末時点でその発生が見込まれ、かつ合理的に金額を見積もることができる場合には、未払計上した売上割戻についても、その年分の必要経費に算入することが認められる。

法人の場合も同様に、売上割戻は、確定した事業年度において損金に算入される。

消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分

課税取引

売上割戻は、一定期間の取引高等に応じて支払われるリベートであり、当初の取引に係る対価の一部を後日返還する性質を有する。

そのため、消費税の取扱いとしては、売上に係る対価の返還等に該当し、当初の課税売上に係る消費税額を減額する処理を行う。

具体的には、売上割戻を行った場合には、課税売上高およびそれに対応する消費税額を減額し、課税売上のマイナスとして処理する。

なお、特約店のセールスマンなどに対して直接支払うかたちの販売奨励金も課税取引である。

税務調査

税務調査においては、おもに次の点について調査される。

  • 架空の売上割戻しはないか(不正行為が行われていないか)
  • 売上割戻の計上時期が妥当か
  • 交際費に該当するものが含まれていないか

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  1. 売上
  2. 売上値引(売上値引高)
  3. 売上戻り(売上戻り高・売上返品)
  4. 売上割戻(売上割戻高・売上リベート)
  5. 商品売買益(商品販売益)


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