売上
売上とは
売上の定義・意味など
売上(うりあげ)とは、通常の営業である商品・製品の販売やサービス(役務)の提供などにより得た対価を処理する収益勘定をいう。
売上の表記
損益計算書では「売上高(うりあげだか)」という用語を用いる(後述)が、帳簿上は「売上」と表記するのが一般的である。
法人・個人の別
法人・個人
売上は法人・個人で使用する勘定科目である。
売上勘定の位置づけ(他の勘定科目との関係)
売上による利益計上は、売上げた商品の原価計算が煩雑となる。
そこで、商品取引の仕訳の処理方法として、三分法、総記法、分記法などの方法が用いられているが、どの方法を採用するかにより、使用される勘定科目が異なってくるので注意を要する。
三分法
売上
売上勘定は、商品売買取引の記帳方法として三分法を採用している場合に使用される勘定科目である。
なお、三分法の場合に使用される勘定科目は売上、そして、仕入、繰越商品の3つである。
分記法
商品・商品売買益
分記法を採用している場合は、売上げは 商品 勘定や商品売買益勘定で処理されることになる。
その他
完成工事高
業種によっては特有の勘定科目を使用する場合もある。
たとえば、建設業では完成工事高勘定を用いる。
売上の目的・役割・意義など
営業収益の計上
損益計算書の計算では、営業による収益と、営業外の取引から生ずる収益とを明確に区分しなければならない。
そこで、営業による収益のみを処理するための勘定科目が売上である。
売上の範囲・具体例
売上の範囲
自家消費(家事消費)
商品などの棚卸資産を自家消費した場合は、所得税法上、収入金額に算入することとされているため、売上勘定で処理する(収益として計上する)。
預り保証金・預り敷金のうち返還されない金額
預かった保証金や敷金は取引や契約の終了時に返還するのが原則である。
しかし、契約上その一部が返還されない(「明渡時に20%を償却する」などの償却事項が付いている)と規定されている場合もある。
この場合、返還されない部分については、売上または雑収入勘定で処理する。
半製品・副産物・作業くずなど
製造業の場合、製品の製造過程で発生する半製品、副産物、作業くず等を外部へ売却する場合もある。
この場合の収益も本業によるものとして、売上に含める(「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第72条1項)。
売上と関係する概念
売上原価
売上に対応する原価を売上原価という。
売上の決算等における位置づけ等
売上の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 売上高
区分表示
売上の区分表示については「企業会計原則」や「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)」に詳細な規定がある。
企業会計原則では、商品等の売上高と役務による営業収益を区別して記載することとされている。
企業会計原則 第二 損益計算書原則
三 A
企業が商品等の販売と役務の給付とをともに主たる営業とする場合には、商品等の売上高と役務による営業収益とは、これを区別して記載する。
また、財務諸表等規則では事業の種類ごとの区分、商品売上高と製品売上高の区分などが規定されている。
(兼業会社の売上高等の記載方法)
第七十一条 二以上の種類の事業を営む場合における売上高及び売上原価に関する記載は、事業の種類ごとに区分してすることができる。
(売上高の表示方法)
第七十二条 …
2 前項の売上高の記載については、製品売上高と商品売上高は区分して記載しなければならない。ただし、区分することが困難な場合は、この限りでない。
表示科目
売上高
期中は売上勘定で記帳するが、損益計算書には「売上高」と表示する。
会社計算規則
(損益計算書等の区分)
第八十八条 損益計算書等は、次に掲げる項目に区分して表示しなければならない。この場合において、各項目について細分することが適当な場合には、適当な項目に細分することができる。
一 売上高
二 売上原価
三 販売費及び一般管理費
四 営業外収益
五 営業外費用
六 特別利益
七 特別損失
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(収益及び費用の分類)
第七十条 収益又は費用は、次に掲げる項目を示す名称を付した科目に分類して記載しなければならない。
一 売上高
二 売上原価(役務原価を含む。以下同じ。)
三 販売費及び一般管理費
四 営業外収益
五 営業外費用
六 特別利益
七 特別損失
なお、割賦販売による売上高が一定額以上の場合には、売上高にまとめて表示するのではなく、独立した科目として表示することが求められている。
(割賦販売売上高の表示方法)
第七十三条 割賦販売による売上高が売上高の総額の百分の二十をこえる場合には、当該名称を付した科目をもつて別に掲記しなければならない。
売上の表示方法
総売上高・純売上高
損益計算書上の売上高の表示方法には、総額で表示する方法(総額主義)と、値引・返品等を控除した純額で表示する方法(純額主義)がある。
いずれの方法によるかは、取引の実態に応じて判断される。
- 総売上高(総額主義)
- 純売上高(純額主義)
売上の会計・簿記上の取り扱い
会計処理
収益の認識基準(計上時期・期間帰属)
実現主義
売上は、商品・製品の販売やサービス(役務)の提供により得られる収益であり、いつの時点で計上するか(収益の認識時期)が問題となる。
この点、収益の認識は、原則として取引の実態に応じて、収益が実現したと認められる時点で行う(実現主義)。
その具体的な認識基準として、次のようなものがある。
1.引渡基準(販売基準)
商品・製品を引き渡した時点で収益を認識する方法であり、最も一般的な基準である。
2.出荷基準
商品を出荷した時点で収益を認識する方法であり、引渡しまでの期間が短く、重要な差異がない場合に用いられる。
3.検収基準
得意先による検収(受入確認)が完了した時点で収益を認識する方法であり、検収が取引条件となっている場合に用いられる。
4.役務提供基準
サービスの提供に応じて収益を認識する方法であり、役務の提供が完了した時点、または進行に応じて計上する。
売上の評価(計上金額)
売上を計上する場合、売上計上時期の問題に次いで問題となるのが、売上の計上金額をいくらにするかという問題である。
売上の計上金額は、原則として顧客から受け取る対価の額を計上するが、値引、割戻、返品などが見込まれる場合には、これらを控除した金額をもって売上とする。
使用する勘定科目・仕訳の仕方
売上は収益勘定であるため、商品を販売したときは売価を売上勘定の貸方に記帳して収益計上する。
その相手科目は現金、売掛金、前受金など、取引の内容に応じて決定される。
なお、値引、返品、割戻などにより売上を減額する場合には、売上値引、売上戻り、売上割戻といった別の勘定科目を用いて処理する。
取引の具体例と仕訳
現金売上

商品を現金で販売した。

| 現金 | ✕✕✕✕ | 売上 | ✕✕✕✕ |
掛売上(売掛金)

商品を掛けで販売した。

| 売掛金 | ✕✕✕✕ | 売上 | ✕✕✕✕ |
値引した場合

販売後に値引を行った。

| 売上値引 | ✕✕✕✕ | 現金預金 | ✕✕✕✕ |
返品があった場合

販売した商品が返品された。

| 売上戻り | ✕✕✕✕ | 現金預金 | ✕✕✕✕ |
前受金がある場合

商品販売前に代金を受け取った。

| 現金 | ✕✕✕✕ | 前受金 | ✕✕✕✕ |

その後、商品を引き渡した。

| 前受金 | ✕✕✕✕ | 売上 | ✕✕✕✕ |
売上の税法上の取り扱い
総収入金額・益金算入
総収入金額算入(所得税法)
売上は、事業により生じた収入であるため、原則として総収入金額に算入される。
その計上時期は、原則として発生主義に基づき判断される。
益金算入(法人税法)
売上は、法人の事業活動から生じる収益であるため、原則として益金に算入される。
その計上時期は、原則として発生主義に基づき、その収益が実現した事業年度において認識される。
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
課税取引等
売上は、消費税法上、原則として資産の譲渡や役務の提供の対価として受け取るものであるため、課税取引として課税売上げに該当する。
ただし、国内において行われない取引による売上は、消費税の課税対象とはならず、不課税取引に該当する。
また、輸出取引など一定の要件を満たす取引については、免税取引(輸出免税)として消費税が課されない。
執筆者:ケーソルーション(2006年より本サイト運営)
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