(ケーソルーション)簿記・勘定科目一覧ハンドブック

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破産債権

破産債権とは

破産債権の定義・意味など

破産債権(はさんさいけん)とは、破産手続開始の申立てを行った(破産手続きを適用した)債務者に対する債権を処理する資産勘定をいう。

なお、破産債権は、破産法では「破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、財団債権に該当しないもの」と定義されている。

法人・個人の別

法人・個人

破産債権は法人・個人で使用される勘定科目である。

他の勘定科目との関係

更生債権

更生手続開始の申立てを行った(更生手続きを適用した)債務者に対する債権を処理する勘定科目として更生債権勘定がある。

破産更生債権等

破産債権・更生債権などを処理する一般的な勘定科目として破産更生債権等勘定がある。

破産債権の特色・特徴

破産債権は、原則として、破産手続によらなければ、これを回収することはできない(破産法第100条)。

破産債権に関する会計基準と制度会計

会計基準

破産債権に関しては次のような会計基準等がある。

  • 企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」
  • 会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」
  • 「中小企業の会計に関する指針」

破産債権の目的・役割・意義など

営業債権は、正常営業循環基準により、流動資産として処理されるのが原則である。

しかし、それらの債権が不良債権化した場合には、その回収不能部分を見積もって、貸倒引当金を設定しなければならない。

そして、こうした債権はもはや正常営業循環からは外れてしまったものと解されるので、ワン・イヤー・ルールによって固定資産として取り扱われる(企業会計原則注解〔注16〕流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について)。

そのための勘定科目が破産債権勘定などで、投資その他の資産のひとつとして位置づけられる。

破産債権の位置づけ・体系(上位概念等)

「金融商品に係る会計基準」や「中小企業の会計に関する指針」では、貸倒見積高の算定にあたり、債務者の財政状態と経営成績等に応じて、債権を次の3つに区分したうえ、それぞれの区分に応じた貸倒見積高の算定方法を規定している。

  1. 一般債権 … 経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権
  2. 貸倒懸念債権 … 経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか、または生じる可能性の高い債務者に対する債権
  3. 破産更生債権等 … 経営破綻または実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権

破産債権の決算等における位置づけ等

破産債権の財務諸表における区分表示と表示科目

貸借対照表 > 資産 > 固定資産 > 投資その他の資産 > 破産債権

区分表示
投資その他の資産

前述したように、破産債権は投資その他の資産に属するものとして表示する。

企業会計原則注解
〔注16〕流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
 受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前払金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。ただし、これらの債権のうち、破産債権、更生債権及びこれに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産たる投資その他の資産に属するものとする。

表示科目
破産債権

財務諸表等規則32条で、破産更生債権等の区分掲記について規定されている。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(投資その他の資産の区分表示)
第三十二条  投資その他の資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。

 破産更生債権等

破産債権の会計・簿記・経理上の取り扱い

会計処理方法

使用する勘定科目・記帳の仕方等
期中

(破産債権)

期中、売上債権などの債務者が破産手続開始の申立てを行った(破産手続きを適用した)ときは、破産更生債権等については、財務諸表等規則32条で区分掲記(つまり、破産更生債権等への振替処理)が定められているので、一般債権(売掛金・受取手形・貸付金勘定など)を破産債権勘定に振り替える。

(貸倒損失)

会社更正法の更生計画認可の決定・民事再生法の再生計画認可の決定・会社法の特別清算に係る協定の認可などの法的な手続きにより債権の全部または一部が切り捨てられた(消滅した)場合などは、貸倒損失を計上する。

ただし、貸倒損失として計上できるかどうかは税務上の要件が定められているので注意を要する。

要件を満たしているかどうかは慎重な判断が必要になり、要件を満たしていないのに貸倒損失として処理した場合には贈与として取り扱われる(具体的には寄付金や役員賞与勘定で処理することになる)。

期末(決算時)

(貸倒引当金の設定(決算整理事項))

貸倒引当金(または貸倒損失)

破産債権は期末に貸倒見積高を算定したうえ、原則として、貸倒引当金として処理する。

ただし、債権金額または取得価額から直接減額することもできる。

貸倒見積高の算定方法としては、債権額から担保の処分見込額および保証による回収見込額を減額し、その残額(つまり、回収不能と見込まれる金額)を貸倒見積高とする。

したがって、たとえば、担保の処分見込額と保証による回収見込額がゼロの場合は、債権全額について貸倒引当金を計上する必要がある。

以上、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」より

金融商品に係る会計基準
第四 貸倒見積高の算定

二 貸倒見積高の算定方法
債権の貸倒見積高は、その区分に応じてそれぞれ次の方法による。

3 破産更生債権等については、債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額を貸倒見積高とする。

しかし、税法上、貸倒引当金勘定への繰入限度額が別途定められている。

たとえば、債務者が更生・再生・破産・特別清算などの手続開始の申立てを行った場合には、債権額の50%相当額を限度として、個別評価金銭債権にかかる貸倒引当金の計上を行うものとされている(法人税法施行令96条1項3号)。

そのため、会計上の貸倒引当金がこの税法上の貸倒引当金の繰入限度額を超過する場合は、その金額について確定申告時に別表4で加算調整を行う必要が生じる。

取引の具体例と仕訳の仕方

期中

取引

売掛金100万円のある得意先が破産手続開始の申立てを行った(破産手続きを適用した)。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
破産債権 100万 売掛金 100万

取引

上記売掛金につき、その得意先の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
貸倒損失 100万 破産債権 100万

破産債権の税務・税法・税制上の取り扱い

消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分

不課税取引(課税対象外)

破産債権は消費税の課税対象外である。

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