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長期設備支払手形

長期設備支払手形とは

長期設備支払手形の定義・意味など

長期設備支払手形(ちょうきせつびしはらいてがた)とは、機械装置・工具器具備品・車両運搬具などの固定資産の取得など、通常の営業取引ではない取引の支払いのために振り出した手形債務(後日、手形代金を支払わなければならない債務)のうち、決算日の翌日から起算して1年を超えて決済期日が到来するものを処理するための負債勘定をいう。

つまり、長期設備支払手形は、

  • 支払手形(負債)を
  • 設備投資に関するものに限定し
  • かつ、1年超の支払期限にしたもの

であり、その本質は長期支払手形の内訳(設備投資分)である。

長期設備支払手形の目的・役割・意義など

通常、支払手形は営業取引(仕入)から生じる。

しかし、設備投資は、営業取引ではなく、かつ、金額が大きく、支払期間も長い。

そのため、通常の営業取引から生じたものと、非営業(設備)取引から生じたものとを明確に区分するために、支払手形勘定とは区別して、設備支払手形勘定などを使って処理をする。

さらに、設備支払手形はワン・イヤー・ルールの適用を受けるため、支払期日が貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に支払期限が到来する分については「設備支払手形」とし、1年を超えて到来する分については「長期設備支払手形」として表示する。

他の勘定科目との関係

長期支払手形

長期設備支払手形の本質は長期支払手形の内訳(設備投資分)であるが、これとは明確に区分して本勘定を用いる企業はある。

しかし、長期支払手形にまとめて処理するケースも多い。

営業外支払手形・長期営業外支払手形

設備支払手形と同じ趣旨で、営業外支払手形または長期営業外支払手形という勘定科目が実務上用いられる例はあるが、体系的な整理としては推奨されない。

長期設備支払手形の位置づけ・体系(上位概念等)

手形

手形は、手形法上は約束手形と為替手形とに分類される。

しかし、簿記上では手形はこの法律上の分類にかかわらず、通常の営業取引から生じた手形債権と手形債務については、受取手形と支払手形という2つの勘定科目で処理をする。

つまり、約束手形や為替手形といった勘定科目は存在しない。

ただし、通常の営業以外の取引から生じたもの、裏書譲渡・手形割引などの特定の手形行為、手形の不渡りなどについては特別な勘定科目を使用する場合もある。

なお、手形に関する勘定科目としては次のようなものがある。

  • 手形に関する勘定科目
    • 手形債権
      • 受取手形
      • 営業外受取手形
    • 手形債務
      • 支払手形
      • 設備支払手形
      • 長期支払手形
      • 長期設備支払手形
    • 手形を用いた金銭貸借
      • 手形貸付金
      • 手形借入金
    • 交換手形関係(融通手形)
      • 受取融通手形
      • 支払融通手形
    • 手形の状態・異常に関するもの
      • 不渡手形
    • 手形の処理・手続に関するもの※主に取立手形などがある
      • 取立手形
    • 偶発債務・保証に関するもの
      • 保証債務
      • 保証債務費用
      • 保証債務取崩益
      • 対照勘定
        • 裏書義務(手形裏書義務)
        • 裏書義務見返(手形裏書義務見返)
        • 割引義務
        • 割引義務見返

長期設備支払手形の決算等における位置づけ等

長期設備支払手形の財務諸表における区分表示と表示科目

長期設備支払手形は決算書では固定負債に表示される。

貸借対照表 > 負債 > 固定負債 > 長期設備支払手形

企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
 …
 貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。

長期設備支払手形の会計・簿記上の取り扱い

会計処理

使用する勘定科目・仕訳の仕方

固定資産を約束手形の振出しにより取得した場合には、その支払義務は設備支払手形として処理する。

その後、決算日において当該手形の支払期限を確認し、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払期限が到来する部分については、設備支払手形から長期設備支払手形へ振り替える。

これに対して、翌期以降において支払期限が1年以内となった場合には、長期設備支払手形から設備支払手形へ振り戻し、流動負債として表示する。

なお、手形の決済時には、設備支払手形として処理されているものを取り崩し、当座預金等で支払処理を行う。

このように、長期設備支払手形は手形そのものの性質が変わるものではなく、支払期限に応じた表示区分(流動負債と固定負債)を適切に行うための振替処理によって管理されるものである。

取引の具体例と仕訳
1.取得時

取引

固定資産を手形で購入した。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
機械装置 ✕✕✕✕ 設備支払手形 ✕✕✕✕

2.決算時の振替

取引

支払期限が1年を超える部分を長期設備支払手形へ振り返る。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
設備支払手形 ✕✕✕✕ 長期設備支払手形 ✕✕✕✕

3.翌期以降(再振替)

取引

支払期限が1年以内に入ったら流動負債へ戻す。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
長期設備支払手形 ✕✕✕✕ 設備支払手形 ✕✕✕✕

決済時

取引

満期に支払う。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
設備支払手形 ✕✕✕✕ 当座預金 ✕✕✕✕

長期設備支払手形の税法上の取り扱い

消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分

課税取引

長期設備支払手形は手形なので不課税と誤認されることがある。

しかし、手形は決済手段に過ぎず、長期設備支払手形の本体の取引は設備購入(資産の取得)である。

したがって、長期設備支払手形は課税取引に該当し、消費税の課税対象となる(仕入税額控除の対象となる)。

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