商品
商品とは
商品の定義・意味など
商品(しょうひん)とは、商品売買取引の記帳方法として分記法または総記法を採用している場合において※、商業(販売業)を営む企業・個人事業主が、通常の営業として、加工せずにそのままの状態で販売することを目的として、他の取引先から仕入れて所有している物品を処理するための資産勘定をいう。
※ただし、実務では、三分法を採用している場合においても、商品勘定を用いて仕訳を行うことがある(後述)。
法人・個人の別
法人・個人
商品は法人・個人で使用される勘定科目である。
商品の範囲・具体例
商品の範囲
製品
販売目的で所有していても、自社で製造したものは商品ではなく、製品勘定で処理をする。
商品の具体例
商品の在庫など
商品勘定で処理をするものは、たとえば、スーパーがメーカーなどから物品を仕入れて、まだ売れずに残っているもので、具体的には店舗の棚にのっている品物である。
また、不動産会社が販売目的で所有する不動産(土地・建物)や証券会社が販売目的で所有する有価証券も商品勘定で処理をされる。
なお、特殊商品売買における商品勘定のバリエーションとして、次のようなものもある。
- 未着品
- 積送品
他の勘定科目との関係
商品売買益
分記法または総記法では、商品勘定とともに商品売買益勘定を用いて商品売買取引を記帳する。
すなわち、分記法では、商品を販売したときに仕入原価と売価との差額を商品売買益勘定(収益)で処理をする。
また、総記法では、決算時に当期の商品売買益を別途計算して、商品勘定から商品売買益勘定に振り替える。
商品・期首商品棚卸高(期首棚卸高)・期末商品棚卸高(期末棚卸高)
商品売買取引の記帳方法として三分法を採用する場合、簿記のテキストのセオリーでは、繰越商品と仕入または売上原価勘定を用いて決算整理仕訳をして売上原価の算定を行う。
しかし、この仕訳では仕訳時の勘定科目名と貸借対照表や損益計算書での表示が一致しなくなるので、実務上は(具体的には税理士事務所などでは)、貸借対照表や損益計算書での表示と統一させるため、代わりに商品・期首商品棚卸高(期首棚卸高)・期末商品棚卸高(期末棚卸高)勘定を用いて処理することが多い。
商品の目的・役割・意義など
現金預金を運用(=投資)したひとつの結果が商品であり、それが①売上債権→現金預金(=リターン)や②商品の在庫となる。
商品の位置づけ・体系(上位概念等)
棚卸資産
商品は棚卸資産のひとつである。
なお、棚卸資産には次のようなものがある。
- 通常の営業過程において販売するために保有する財貨または用益
- 商品(販売用不動産を含む)
- 製品(半製品・副産物・作業屑を含む)
- 未着品
- 積送品
- 試用品
- 販売を目的として現に製造中の財貨または用益
- 半製品
- 仕掛品(半成工事を含む)
- 販売目的の財貨または用益を生産するために短期間に消費されるべき財貨
- 原材料(主要原材料と補助原材料)
- 販売活動または一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨
- 貯蔵品
- 消耗品(事務用消耗品など)
- 棚卸資産に準ずる資産
企業会計基準第9号 棚卸資産の評価に関する会計基準
棚卸資産の範囲
28. これまで、棚卸資産の範囲は、原則として、連続意見書 第四に定める次の 4 項目のいずれかに該当する財貨又は用役であるとされている。
(1) 通常の営業過程において販売するために保有する財貨又は用役
(2) 販売を目的として現に製造中の財貨又は用役
(3) 販売目的の財貨又は用役を生産するために短期間に消費されるべき財貨
(4) 販売活動及び一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨
混合勘定
総記法による場合の商品勘定は混合勘定の代表例である。
混合勘定の具体例としては次のようなものがある。
- 総記法による場合の商品勘定
- 消耗品・消耗品費勘定
- 未着品勘定
- 積送品勘定など
商品の決算等における位置づけ等
商品の財務諸表における区分表示と表示科目
貸借対照表 > 資産 > 流動資産 > 商品
区分表示
流動資産
商品などの棚卸資産は、貸借対照表上、正常営業循環基準(営業循環基準)により、流動資産に属する。
なお、恒常的に在庫品として保有するもの、余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とはしない。
企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…
商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、…。
…
なお、…、たな卸資産のうち恒常在庫品として保有するもの若しくは余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とせず流動資産に含ませるものとする。
表示科目
商品
たとえば、三分法では、決算整理で在庫商品は商品勘定を用いずに繰越商品勘定で処理をする。
しかし、決算整理後残高試算表において繰越商品とされていた勘定科目は、貸借対照表においては、商品という科目として表示する。
商品の会計・簿記上の取り扱い
会計処理
使用する勘定科目・仕訳の仕方
分記法を採用している場合
分記法では、商品の増減は商品勘定で処理しつつ、販売時に売買益を同時に認識する。
すなわち、仕入時には商品勘定の借方に記帳し、販売時には商品勘定の貸方に原価部分を記帳するとともに、その差額を商品売買益勘定に計上する。
なお、この方法では、期中から利益が段階的に計上されるため、決算時に改めて利益を計算して振り替える必要はない。
総記法を採用している場合
総記法では、商品の仕入および販売のいずれも商品勘定で処理する。
仕入時には商品勘定の借方に記帳し、販売時には商品勘定の貸方に記帳する。
この方法では、売上と売上原価を区別せず、商品の増減を1つの勘定でまとめて処理することになる。
そのため、期中の段階では利益は把握されず、決算時に期末棚卸高をもとに商品売買益を計算し、その金額を商品勘定から商品売買益勘定に振り替えることにより、当期の利益を確定する。
(補足)
商品売買取引の記帳方法には次の3つの方法がある。
- 三分法(三分割法)
- 分記法
- 総記法
一般に知られているのは三分法と分記法であり、なかでも三分法が一般的に用いられている。
ただし、前述したように三分法による場合は商品勘定は使用されない。
商品の管理
帳簿管理
商品有高帳
三分法による会計記帳を行っている場合であっても、商品有高帳によって、商品の受け払い記録を作成して在庫を管理することが望ましい。
商品の受け払い記録を作成しないと商品有高は年に一度しかわからなくなり、在庫の有効な管理が行えないからである。
商品の税法上の取り扱い
総収入金額・益金算入と必要経費算入・損金算入
売上は、所得税法上は総収入金額に、法人税法上は益金に算入される。
これらは原則として、商品やサービスの提供により取引が実現した時点で認識される。
一方、商品の仕入額は、そのまま必要経費または損金に算入されるのではなく、期末棚卸により未販売分を資産として繰り延べ、販売された部分に対応する金額のみが売上原価として必要経費または損金に算入される。
このように、売上と売上原価は対応関係に基づいて処理され、課税所得はこれらの差額として計算される。
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
課税取引
商品の売上は、消費税法上、原則として国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡に該当するため、課税取引として課税売上げとなる。
ただし、国内において行われない取引による売上は不課税取引として消費税の課税対象外となり、国内からの輸出として行われる売上など一定の要件を満たすものは免税取引(輸出免税)となる。
一方、商品の仕入は、国内において行われる課税資産の譲渡等に該当する場合には課税仕入れとなり、仕入税額控除の対象となる。
執筆者:ケーソルーション(2006年より本サイト運営)
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