売上債権売却損
売上債権売却損とは
売上債権売却損の定義・意味など
売上債権売却損(うりあげさいけんばいきゃくそん)とは、ファクタリングなどにより売上債権(売掛債権)を譲渡した際に生じた損失(債権の帳簿価額ー譲渡価額)を処理する費用勘定をいう。
売上債権売却損の別名・別称・通称など
売上債権譲渡損・売掛債権売却損・売掛債権譲渡損
売上債権売却損は売上債権譲渡損ともいう。
また、売上債権は売掛債権ともいうので、売掛債権売却損または売掛債権譲渡損と呼ばれることもある。
売上債権売却損の範囲・具体例
売上債権売却損の範囲
売上債権売却損の判定基準
売上債券の譲渡損失である売上債権売却損については、後述するように当該売上債権の譲渡が行われた事業年度において必要経費または損金に算入される。
ただし、売上債権の譲渡が売却として認められるかどうかについて法人税基本通達において判定基準が示されており、この基準を満たさない場合には、当該取引は売却とは認められず、売上債権売却損として必要経費または損金に算入することはできない。
そこで、その判定基準が問題となるが、同通達で示されている基準は
- 売上債権の譲渡が売却として認められるかどうかは、当該債権に係るリスクと利益が実質的に移転しているかどうかにより判断する
である。
すなわち、リスクや利益が移転していない場合(買戻し義務がある場合など)には売却とは認められず、資金の借入れとして取り扱われる(つまり、税法上は売上債権売却損とは取り扱われない)。
法人税基本通達
(金融資産の消滅を認識する権利支配移転の範囲)
2-1-44 法人が金融資産(金融商品である資産をいう。以下この章において同じ。)の売却等の契約をした場合において、当該契約により当該金融資産に係る権利の支配が他の者に移転したときは、当該金融資産の売却等による消滅を認識するのであるから、原則として、次に掲げる要件の全てを満たしているときは、当該売却等に伴い収受する金銭等の額又は当該売却等の直前の当該金融資産の帳簿価額は、当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(1) 売却等を受けた者は、次のような要件が満たされていること等により、当該金融資産に係る権利を実質的な制約なしに行使できること。
イ 売却等をした者(以下2-1-44において「譲渡人」という。)は、契約又は自己の自由な意思により当該売却等を取り消すことができないこと。
ロ 譲渡人に倒産等の事態が生じた場合であっても譲渡人やその債権者(管財人を含む。)が売却等をした当該金融資産を取り戻す権利を有していない等、売却等がされた金融資産が譲渡人の倒産等のリスクから確実に引き離されていること。
(2) 譲渡人は、売却等をした金融資産を当該金融資産の満期日前に買い戻す権利及び義務を実質的に有していないこと。
売上債権売却損の具体例
- ファクタリングの手数料(割引料または利息)
売上債権売却損の決算等における位置づけ等
売上債権売却損の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業外損益の部 > 営業外費用 > 売上債権売却損
区分表示
営業外費用
ファクタリングなどの債権譲渡は通常の営業活動ではないので、これにより生じた売上債権売却損は有価証券売却損や支払利息などと同様に営業外費用に属するものとして表示する。
(参考)
企業会計原則
(営業外損益)
四 営業外損益は、受取利息及び割引料、有価証券売却益等の営業外収益と支払利息及び割引料、有価証券売却損、有価証券評価損等の営業外費用とに区分して表示する。
表示科目
売上債権売却損など
営業外費用に属する費用は財務諸表等規則93条で区分掲記が定められているので、原則として売上債権売却損などとして表示する。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(営業外費用の表示方法)
第九十三条 営業外費用に属する費用は、支払利息、社債利息、社債発行費償却、創立費償却、開業費償却、貸倒引当金繰入額又は貸倒損失(第八十七条の規定により販売費として記載されるものを除く。)、有価証券売却損、売上割引その他の項目の区分に従い、当該費用を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。ただし、各費用のうちその金額が営業外費用の総額の百分の十以下のもので一括して表示することが適当であると認められるものについては、当該費用を一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる。
売上債権売却損の会計・簿記上の取り扱い
会計処理
使用する勘定科目・仕訳の仕方
売買説・金融説
ファクタリングによる債権譲渡(売上債権(売掛債権)の譲渡)は、これを債権の売買取引と解する説(売買説)と債権を担保とした金融取引と解する説(金融説)とがある。
売買説では、当該債権の帳簿価額と譲渡価額の差額(ファクタリングの手数料)は、損益計算書上は売却損として計上し、金融説では支払利息として計上することになる。
売買説による場合は、ファクタリング会社に債権譲渡をして入金があったときに当該債権の帳簿価額と譲渡価額の差額(ファクタリングの手数料)を売上債権売却損勘定の借方に記帳して費用計上する。
取引の具体例と仕訳

保有する売上債権(売掛金)をファクタリング会社に譲渡して現金化した。なお、期日前に早々に現金化したので、債権譲渡時に売上債権を未収金(または受取手形)に振り替える会計処理は行っていない。

| 普通預金 | ✕✕✕✕ | 売掛金 | ✕✕✕✕ |
| 売上債権売却損 | ✕✕✕✕ |
売上債権売却損の税法上の取り扱い
必要経費算入(所得税法)・損金算入(法人税法)の可否
売上債権売却損は、売上債権(売掛債権)の譲渡損失を処理する費用である。
したがって、個人事業主の場合、当該売上債権の譲渡が行われた年分において必要経費に算入される。
法人の場合も同様に、当該売上債権の譲渡が行われた事業年度において損金に算入される。
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
売上債権売却損は不課税取引として消費税の課税対象外である。
執筆者:ケーソルーション(2006年より本サイト運営)
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