有価証券評価損
有価証券評価損とは
有価証券評価損の定義・意味など
有価証券評価損(ゆうかしょうけんひょうかそん)とは、法人が決算時に売買目的で保有する有価証券の貸借対照表の計上額を決算時の時価に変更する際の評価差額を処理する費用勘定をいう。
法人・個人の別
法人
有価証券評価損は法人特有の勘定科目である。
有価証券評価損の位置づけ・体系(上位概念等)
売買目的有価証券の評価替え
貸借対照表は決算時点の財政状態を明らかにするために作成される。
そこで、貸借対照表上、資産や負債をどのように評価すべきか(資産の評価基準・負債の評価基準)が問題となる。
この点、会計上は、原則として取得原価主義が採用されている。
企業会計原則
第三 貸借対照表原則
(資産の貸借対照表価額)
五 貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として、当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない。
会社計算規則
(資産の評価)
第五条 資産については、この省令又は法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿にその取得価額を付さなければならない。
(負債の評価)
第六条 負債については、この省令又は法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿に債務額を付さなければならない。
しかし、売買目的有価証券は、価格変動が大きく、帳簿価額(簿価。帳簿上の価格)=取得原価と時価が大きく異なる場合がある。
そこで、貸借対照表は決算時点の財政状態を示すというその本来の役割を果たさせるため、例外的に決算時に売買目的有価証券の貸借対照表の計上額を決算時の時価に変更する会計処理=評価替えが行われる。
有価証券評価損は帳簿価額より期末時点の時価のほうが低い場合に、その評価損を費用計上するための勘定科目である。
有価証券評価損と関係する概念
反対概念・対概念
有価証券評価益
有価証券の帳簿価額より期末時点の時価のほうが高い場合には有価証券評価益勘定を用いる。
有価証券評価損の決算等における位置づけ等
有価証券評価損の財務諸表における有価証券評価益の区分表示と表示科目
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業外損益の部 > 営業外費用 > 有価証券評価損
区分表示
営業外費用
有価証券評価損は、売買目的有価証券の時価評価により生じた評価損を処理する費用なので、損益計算書において営業外費用として表示される。
表示科目
有価証券評価損
表示科目については有価証券評価損として個別表示する方法のほか、金額的重要性が低い場合には雑損失等に含めて表示することもできる。
有価証券評価損の会計・簿記上の取り扱い
会計処理
使用する勘定科目・仕訳の仕方
期末(決算時)
売買目的有価証券の評価替え
売買目的有価証券は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益として処理するが(「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)第15項)、帳簿価額より期末時点の時価のほうが低い場合には、その評価差額を売買目的有価証券勘定(資産)の貸方に記帳して減少させるとともに、有価証券評価損勘定(費用)の借方に記帳して費用計上する。
翌期首
洗替法による場合、期末に評価替えを行った有価証券は翌期首には洗い替えを行う。
これにより帳簿価額は元の帳簿価額=取得原価に戻されることになる。
取引の具体例と仕訳
期末(決算時)

売買目的で保有する有価証券(簿価100万円)の決算日の時価は80万円であった。

| 有価証券評価損 | 20万 | 売買目的有価証券 | 20万 |
翌期首
「期末時価 < 帳簿価額」の場合

翌期首において上記有価証券の洗い替えを行った。

| 売買目的有価証券 | 20万 | 有価証券評価益 | 20万 |
有価証券評価損の税法上の取り扱い
必要経費算入・損金算入の可否
有価証券評価損は、期末における評価替えにより帳簿価額を減額することによって生じるものであり、実現していない損失であるため、原則として個人事業主においては必要経費に算入されず、法人においても損金に算入されない。
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
有価証券評価損は、評価替えにより帳簿価額を減額することによって生じるものであり、資産の譲渡や役務の提供の対価ではないため、不課税取引として消費税の課税対象外である。
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