(ケーソルーション)簿記・勘定科目一覧ハンドブック

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繰越商品

繰越商品とは

繰越商品の定義・意味など

繰越商品(くりこししょうひん)とは、商品売買取引の記帳方法として三分法を採用している場合に、決算整理仕訳で本来の商品勘定の代わりに商品の在庫(在庫商品)を処理する資産勘定をいう。

ただし、実務では、三分法を採用している場合においても、商品勘定を用いて仕訳を行うことがある(後述)。

法人・個人の別

法人・個人

繰越商品は法人・個人で使用される勘定科目である。

繰越商品の目的・役割・意義など

期首商品棚卸高

繰越商品勘定の残高は商品の前期繰越高(期末商品棚卸高)=期首商品棚卸高を表し、期中においては、繰越商品勘定は使用しない(つまり、期中は期首商品棚卸高のまま動かない)。

他の勘定科目との関係

商品・期首商品棚卸高(期首棚卸高)・期末商品棚卸高(期末棚卸高)

商品売買取引の記帳方法として三分法を採用する場合、簿記のテキストのセオリーでは、繰越商品仕入または売上原価勘定を用いて決算整理仕訳をして売上原価の算定を行う。

しかし、この仕訳では仕訳時の勘定科目名と貸借対照表や損益計算書での表示が一致しなくなるので、実務上は(具体的には税理士事務所などでは)、貸借対照表や損益計算書での表示と統一させるため、代わりに商品期首商品棚卸高期首棚卸高)・期末商品棚卸高期末棚卸高)勘定を用いて処理することが多い。

繰越商品の決算等における位置づけ等

繰越商品の財務諸表における区分表示と表示科目

貸借対照表 > 資産 > 流動資産 > 商品

区分表示
流動資産

繰越商品は正常営業循環基準(営業循環基準)により流動資産に属する。

企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について

 商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、…。

表示科目
商品

三分法では、決算整理で在庫商品は商品勘定を用いずに繰越商品勘定で処理をする。

しかし、決算整理後残高試算表において繰越商品とされていた勘定科目は、貸借対照表においては、商品という科目として表示する。

繰越商品の会計・簿記・経理上の取り扱い

会計処理方法

使用する勘定科目・記帳の仕方等
期末(決算時)等

(決算整理仕訳(売上原価の算定))

簿記は、最終的には会計として利害関係者に企業の財政状態と経営成績を報告することを目的とする。

この目的は貸借対照表や損益計算書などの決算書(財務諸表)といった報告書を作成・公開することで果たされる。

このうち損益計算書は、企業や個人事業主の1会計期間(事業年度)における利益(いくら儲かったのか)を明らかにするために作成するものである。

そして、損益計算書における利益は、次の計算式で算定・算出される(利益計算)。

利益 = 収益 - 費用

この利益計算における費用は次の2つからなる。

  1. 売上原価
  2. 経費

利益には、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の5つの段階がある(→段階利益)が、このうち、当期の粗利である売上総利益は収益=売上高から費用の一要素である売上原価を控除して得られる。

売上原価は、厳密には販売した商品の単価(1個あたりの仕入原価)に販売した数量を掛けて計算するが、この計算は非常に煩雑である(→分記法)。

そこで、売上原価の計算は、決算時に在庫商品を繰越商品勘定などを用いて処理したうえ、期末における仕入勘定の残高(つまり、当期に仕入れた商品の仕入原価の合計額)である当期商品仕入高(いわば、仮の費用)をベースにして、これを売上原価(いわば、確定した費用)に一括して変換して行うのが一般的である(→三分法)。

すなわち、当期商品仕入高のなかには、前期の仕入金額ではあるが当期の費用とすべきもの (前期に仕入れた商品が当期で販売された場合。つまり、前期から繰り越された在庫商品)や、逆に当期の費用とはすべきではないもの(当期に仕入れた商品が売れ残った場合。つまり、当期に売れ残った在庫商品)が含まれている場合がある。

当期に売れ残った在庫商品については、売上原価として当期の費用に計上することはできない。

そこで、収益から差し引かれる費用はその収益と何らかの対応関係があるものに限定されるという費用収益対応の原則から、決算時に決算整理事項のひとつとして、当期商品仕入高を次の計算式により売上原価として正しく算定しなおす。

なお、費用と収益の対応関係には①個別対応と②期間対応があるが、売上高と売上原価の対応関係は、個別対応であり、仕入れた商品のうち、売れた分だけを売上原価とし、売れ残った分は売上原価としない。

前期末に商品の在庫がなく、かつ、当期に仕入れた商品がすべて販売された場合には、当期商品仕入高=売上原価となる。

売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高

企業会計原則
売上原価は、…、商業の場合には、期首商品たな卸高に当期商品仕入高を加え、これから期末商品たな卸高を控除する形式で表示し、製造工業の場合には、期首製品たな卸高に当期製品製造原価を加え、これから期末製品たな卸高を控除する形式で表示する。

この計算式により、当期に仕入れた商品の仕入原価の合計額を表していた仕入勘定の残高は、売上高(収益)に対応する商品の仕入原価=売上原価(費用)を表すものとなる。

企業会計原則
売上原価は、売上高に対応する商品等の仕入原価又は製造原価であって、…

さらに、上記の計算式により売上原価を計算するにあたっては、次の2つの方法がある。

  1. 仕入勘定を用いて売上原価を計算する方法
  2. 売上原価勘定を用いて売上原価を計算する方法

ただし、いずれの方法を採用するにせよ、期首商品棚卸高(前期から繰り越された在庫商品)や期末商品棚卸高(当期に売れ残った在庫商品)は具体的なかたちがあるモノなので、前払費用勘定などで費用処理をするのではなく、繰越商品勘定などの資産勘定で処理をする。

(決算整理仕訳(期末商品の評価))

棚卸減耗の処理

期末の実地棚卸により帳簿棚卸数量よりも実地棚卸数量のほうが少ないことが判明した場合、その減少分(棚卸減耗)の金額を棚卸減耗費勘定(費用)の借方に記帳して費用計上するとともに、繰越商品勘定(資産)の貸方に記帳してこれを減少させる。

商品評価損の処理

期末における商品の時価が取得原価(帳簿価額)より低い場合は、この価値の減少額(取得原価と時価との差額)を商品評価損勘定(費用)の借方に記帳して費用計上するとともに、繰越商品勘定(資産)の貸方に記帳してこれを減少させる。

取引の具体例と仕訳の仕方

期末(決算時)
期末商品の評価(決算整理仕訳)

棚卸減耗の処理

取引

期末において、商品(仕入原価@100円)の実地棚卸をしたところ、90個であった。しかし、商品有高帳の在庫数量は100個である。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
棚卸減耗費 1000 繰越商品 1000

商品評価損の処理

取引

期末の在庫商品の時価が帳簿価額を下回ったため、決算整理仕訳で修正した。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
商品評価損 ✕✕✕✕ 繰越商品 ✕✕✕✕

繰越商品の税務・税法・税制上の取り扱い

消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分

不課税取引(課税対象外)

消費税法上、繰越商品は不課税取引として消費税の課税対象外である。

ただし、免税事業者が新たに課税事業者となった場合、課税事業者となる日の前日において所有する商品のうちに、納税義務が免除されていた期間において仕入れた商品がある場合は、その商品に係る消費税額を課税事業者になった課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなして仕入税額控除の対象とされる。

No.6491 免税事業者が課税事業者となったとき|消費税|国税庁 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6491.htm

執筆者:ケーソルーション(2006年より本サイト運営)
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