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売買目的有価証券

売買目的有価証券とは

売買目的有価証券の定義・意味など

売買目的有価証券(ばいばいもくてきゆうかしょうけん)とは、売買目的、すなわち、時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券を処理する資産勘定をいう。

金融商品に関する会計基準
2.有価証券
(1)売買目的有価証券
15. 時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券(以下「売買目的有価証券」という。)は、…

法人・個人の別

法人・個人

売買目的有価証券は法人・個人で使用される勘定科目である。

売買目的有価証券の位置づけ・体系(上位概念等)

有価証券

「金融商品に関する会計基準」は有価証券をその保有目的(どういう目的でその有価証券を購入したか)により、次の4つの種類に分類している。

  1. 売買目的有価証券
  2. 満期保有目的債券
  3. 子会社株式・関連会社株式
  4. その他有価証券

つまり、売買目的有価証券は会計制度上、明確に定義されている分類である。

実務でも「売買目的有価証券」という名称、またはそれに対応する名称で会計処理されるのが通常である。

他の勘定科目との関係

売買目的有価証券・満期保有目的債券・子会社株式及び関連会社株式・その他有価証券

取引の記録では、上記の有価証券の分類上の名称をそのまま勘定科目として使用してもよい。

有価証券勘定・投資有価証券

ただし、「金融商品に関する会計基準」は評価に関する基準であって、表示に関する基準ではない。

したがって、勘定科目としては売買目的有価証券などの名称をそのまま使用する必要はない。

たとえば、売買目的有価証券と1年内に満期の到来する有価証券については有価証券勘定(流動資産)を使用し、これ以外の有価証券については投資有価証券勘定(固定資産)を使用する場合もある。

売買目的有価証券の範囲と具体例

法人税法

法人税法(法人税法施行令)は、売買目的有価証券の範囲について、次のように規定している。

  1. 専担者売買有価証券
  2. 短期売買有価証券
  3. 金銭の信託に属する有価証券

1.専担者売買有価証券

短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的(短期売買目的)で行う取引に専ら従事する者が短期売買目的でその取得の取引を行つた有価証券である。

つまり、トレーディング目的の専門部署を設置して売買を行う有価証券である。

2.短期売買有価証券

短期売買目的で取得したものである旨を帳簿書類に記載した有価証券である。

3.金銭の信託に属する有価証券

金銭の信託のうち、信託財産として短期売買目的の有価証券を取得する旨を他の金銭の信託と区分して帳簿書類に記載した有価証券である。

売買目的有価証券の決算等における位置づけ等

売買目的有価証券の財務諸表における区分表示と表示科目

貸借対照表 > 資産 > 流動資産 > 有価証券(または売買目的有価証券)

区分表示
流動資産

有価証券のうち、証券市場において流通するもので、短期的資金運用のために一時的に所有するものは、流動資産に属するものとする。

企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について

 所有有価証券のうち、証券市場において流通するもので、短期的資金運用のために一時的に所有するものは、流動資産に属するものとし、…。

具体的には、売買目的有価証券と1年内に満期の到来する有価証券は流動資産に属する(金融商品に関する会計基準、会社計算規則74条、財務諸表等規則15条・31条)。

金融商品に関する会計基準
(7)有価証券の表示区分
23. 売買目的有価証券及び一年内に満期の到来する社債その他の債券は流動資産に属するものとし、それ以外の有価証券は投資その他の資産に属するものとする。

会社計算規則
(資産の部の区分)
第七十四条 …
 次の各号に掲げる資産は、当該各号に定めるものに属するものとする。
 次に掲げる資産 流動資産

 売買目的有価証券及び一年内に満期の到来する有価証券

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(流動資産の範囲)
第十五条  次に掲げる資産は、流動資産に属するものとする。

 売買目的有価証券及び一年内に満期の到来する有価証券

表示科目
有価証券など

売買目的有価証券は貸借対照表上は有価証券などとして表示する。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(流動資産の区分表示)
第十七条  流動資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。

 有価証券

売買目的有価証券の会計・簿記上の取り扱い

会計処理

売買目的有価証券の実務上のポイント
資産の評価

売買目的有価証券は、短期的な売買による利益の獲得を目的として保有する有価証券であるため、期末において時価評価を行う点が実務上の重要なポイントとなる。

すなわち、帳簿価額と時価との差額は評価損益として当期の損益に計上されるため、未実現の損益であっても当期の損益に影響を与える点に留意が必要である。

使用する勘定科目・仕訳の仕方
期中

取得時の処理

売買目的有価証券を取得したときは、その取得原価(購入代価に付随費用を加えた金額)を売買目的有価証券勘定の借方に記帳して資産計上する。

売却時の処理

売却時には帳簿価額と売却価額との差額を有価証券売却損益として収益または費用計上する。

期末(決算時)

(資産の評価基準)

売買目的有価証券は資産として、決算時において貸借対照表でどのように評価すべきか、という資産の評価基準の問題が発生する。

時価主義の適用

この点、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)は、売買目的有価証券は、決算時に時価で評価し、その評価差額はその期の損益(営業外損益)として処理するものとしている。

企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準
(1) 売買目的有価証券
15. 時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券(以下「売買目的有価証券」という。)は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益として処理する。

翌期首

(洗い替え)

洗替法による場合、期末に評価替えを行った有価証券は翌期首には洗い替えを行う。

これにより帳簿価額は元の帳簿価額=取得原価に戻されることになる。

取引の具体例と仕訳

期中(購入・取得時)

取引

国債100万円を購入した。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
売買目的有価証券など 100万 普通預金 100万

期末(決算時)
売買目的有価証券の評価替え

「期末時価 > 帳簿価額」の場合

取引

売買目的で保有する有価証券(簿価100万円)の決算日の時価は120万円であった。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
売買目的有価証券 20万 有価証券評価益 20万

「期末時価 < 帳簿価額」の場合

取引

売買目的で保有する有価証券(簿価100万円)の決算日の時価は80万円であった。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
有価証券評価損 20万 売買目的有価証券 20万

翌期首
洗い替え

「期末時価 > 帳簿価額」の場合

取引

翌期首において上記有価証券の洗い替えを行った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
売買目的有価証券評価損 20万 売買目的有価証券 20万

「期末時価 < 帳簿価額」の場合

取引

翌期首において上記有価証券の洗い替えを行った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
売買目的有価証券 20万 売買目的有価証券評価益 20万

売買目的有価証券の税法上の取り扱い

消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分

非課税取引

消費税法では、一定の取引を「非課税取引」として列挙しており、その中に有価証券の譲渡が含まれている。

具体的には、消費税法別表第一において「有価証券の譲渡」が非課税と明示されている。

消費税は本来、財・サービスの消費に課税する税であるが、有価証券の売買は資産の交換(金融取引)であり、消費とみなすのが適切でないからである。

そして、有価証券の譲渡は保有目的にかかわらず一律に非課税とされており、売買目的であっても取扱いは変わらない。

したがって、売買目的有価証券の売買は非課税取引にあたる。

執筆者:ケーソルーション(2006年より本サイト運営)
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