簿記・勘定科目一覧ハンドブック(ケーソルーション)

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旅費交通費

旅費交通費とは 【Transportation expenses

旅費交通費の定義・意味など

旅費交通費(りょひこうつうひ)とは、役員や従業員が会社の業務遂行のために移動するために要する旅費や交通費を処理する費用勘定をいう。

なお、旅費とは、遠隔地に出張した場合に旅費規程等にもとづき支給される出張旅費をいい、移動に要する交通費、宿泊費のほか出張手当(出張日当)なども含む。

そして、交通費とは、近距離の交通費(交通機関の利用料等。実費)を意味する。

ただし、通常は両者をあわせて旅費交通費として処理する。

法人・個人の別

法人・個人

旅費交通費は法人・個人で使用される勘定科目である。

旅費交通費の範囲・具体例

旅費交通費の範囲
通勤手当(通勤費)

通勤手当(通勤費)は本来は給与手当に含まれる。

しかし、所得税法上、通勤手当は1カ月あたり10万円を限度として非課税所得とされているので(所得税法9条)、旅費交通費勘定で処理するのが一般的である。

ただし、10万円を越える場合には、越えた部分の金額は給与等として所得税が課税される。

なお、別勘定(福利厚生費勘定など)を用いたり、新たに独立に通勤手当(または通勤費・通勤交通費)などといった勘定科目を設定したりする場合もある。

海外出張費(海外渡航費)

税法上、海外出張費のうち旅費交通費として処理できる金額は、業務の遂行上必要なものであり、かつ、その出張に通常必要と認められる部分の金額に限定される。

したがって、この金額を超える部分の金額については、原則として、当該役員または使用人に対する給与として費用計上する。

法人税基本通達
(海外渡航費)
9-7-6 法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費(仕度金を含む。…)は、その海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経理を認める。したがって、法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(注) その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として経理することができる。

旅費交通費の具体例

旅費交通費として処理をするものとしては、具体的には、次のようなものがある。

旅費の具体例
  • 出張旅費
    • 交通費
      • 航空運賃(航空料金・航空券代・飛行機代)・船賃・電車代(JR等)・バス代・タクシー代
      • 回数券(電車・バス・新幹線)
      • タクシー代
      • タクシーチケット
      • ガソリン代・軽油代(ただし、軽油引取税を除く)
      • 高速道路代・有料道路代
    • 宿泊費
    • 日当(出張手当・出張日当)
    • 昼食代等の食事代(飲食代・飲食費)
  • 海外出張費(海外渡航費)
    • 交通費
    • 宿泊費
    • 日当など
  • 赴任旅費(支度料)

会社の場合は、社長・役員に日当など出張手当てを支払ったときは、これを経費にできる(損金算入可)。これに対して、個人事業主の場合は、自分が出張しても、日当を支払うことはできないので、注意。

交通費の具体例
  • 通勤手当(通勤費)
    • 定期券代など
  • 電車(JR等)代・バス代・タクシー代・飛行機(航空)運賃・船賃
  • 回数券(電車・バス・新幹線)
  • タクシー代
  • タクシーチケット
  • ガソリン代・軽油代(ただし、軽油引取税を除く)
  • 高速道路など有料道路料金
  • 駐車場料金

タクシー代・タクシーチケット

タクシー代やタクシーチケットは旅費交通費勘定で処理する。

なお、得意先等に対して自社が行う接待のために支出したタクシー代は交際費勘定で処理する。

ただし、他社が行う接待を受けるために支出したタクシー代は交際費には該当せず、旅費交通費となる。

交際費等の範囲(接待を受けるためのタクシー代)|法人税目次一覧|国税庁 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/15/01.html

旅費交通費の決算等における位置づけ等

旅費交通費の財務諸表における区分表示と表示科目

損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費 > 旅費交通費

区分表示
販売費及び一般管理費

旅費交通費は、「会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用」なので、販売費及び一般管理費に属するものとして表示する。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(販売費及び一般管理費の範囲)
第八十四条  会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。

金融庁総務企画局 『「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)』
84 規則第84条に規定する販売費及び一般管理費に属する費用とは、会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用例えば販売手数料、荷造費、運搬費、広告宣伝費、見本費、 保管費、納入試験費、販売及び一般管理業務に従事する役員、従業員の給料、賃金、手当、 賞与、福利厚生費並びに販売及び一般管理部門関係の交際費、旅費、交通費、通信費、光熱費及び消耗品費、租税公課、減価償却費、修繕費、保険料、不動産賃借料及びのれんの償却額をいう。

旅費交通費の会計・簿記上の取り扱い

会計処理

使用する勘定科目・仕訳の仕方

旅費や交通費を支払ったときは、旅費交通費勘定の借方に記帳して費用計上するとともに、現金預金や未払金などを貸方に計上する。

旅費交通費の管理
補助科目の作成等

旅費交通費の内容が多い場合には、勘定科目の新設や補助科目の利用も考慮する。

会計資料(証憑・証拠)

実費で精算する場合、交通費で領収書やレシートがないものもある。

しかし、領収書などの証憑がなくても、きちんと記録さえしておけば、そうした内部資料も会計資料として、立派な証拠となる。

したがって、必ず旅費精算書や旅費交通費管理簿などを作成して管理しておくようにする。

旅費交通費の実務
出張旅費の精算方法

所得税法上、旅費については実費精算が要求されていない。

つまり、旅費規程で決められた金額を支給することも可能である。

したがって、出張旅費の精算については、次の2つの方法があることになる。

  1. 実費精算
  2. 旅費規程(出張旅費規定)に基づく精算

1.実費で精算する場合

(旅費交通費の会計資料(証憑・証拠))

実費で精算する場合は、必ず領収書などの会計資料を保存しておく。

しかし、諸経費の中で領収証を入手できない代表が交通費である。

したがって、領収書がない場合でも以下の方法できちんと管理をしておくことが大切である。

  • JRやバスなどを利用した場合には、出金伝票に区間、行き先、目的などを記載し、証拠資料とする。
  • 日常的に交通費が多い会社などでは、従業員に一時(1週間~1カ月単位)立て替えてもらい、精算書を作成させたうえ、清算する方式にする。
    交通費精算書の様式としては市販の出張旅費精算書(日本法令発行)があるが、エクセルで簡単に作成してもよい。
    この方式によることで経理の手間を省くと同時に証拠資料も作成できる。
    なお、個人事業主であってもこの方法は応用できる。

2.旅費規程(出張旅費規定)に基づいて精算する場合

旅費規程を作成している場合には清算事務が簡素化されるというメリットがある。

取引の具体例と仕訳

交通費
一般

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
旅費交通費 ✕✕✕✕ 現金 ✕✕✕✕

定期券代

取引

従業員に1カ月分の定期券代1万円を現金で支払った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
旅費交通費 10,000 現金 10,000

旅費
航空運賃

取引

従業員の出張のため航空券を現金で購入した。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
旅費交通費 ✕✕✕✕ 現金 ✕✕✕✕

実費精算の方法による場合
出張経費を概算額を仮払いしたとき
借方科目金額貸方科目金額
仮払金 ✕✕✕✕ 現金 ✕✕✕✕

出張から帰ったとき

従業員や役員が出張から帰ったときに仮払金を清算し、旅費交通費に振り替える。

(概算払い額より実費の方が多い場合)

借方科目金額貸方科目金額
旅費交通費 ✕✕✕✕ 仮払金 ✕✕✕✕
現金 ✕✕✕✕

(概算払い額より実費の方が少ない場合)

借方科目金額貸方科目金額
旅費交通費 ✕✕✕✕ 仮払金 ✕✕✕✕
現金 ✕✕✕✕

旅費交通費勘定の税法上の取り扱い

旅費交通費を支払う側

必要経費算入・損金算入の可否

旅費交通費は、事業の遂行に必要な出張費や交通費等に係る費用であるため、原則として必要経費または損金に算入される。

出張手当

個人事業主・法人いずれの場合においても、従業員に支払う出張手当は、必要経費(所得税法)または損金(法人税法)に算入される。

これに対し、個人事業主の場合には、事業主本人に対する出張手当や家族従業員に対する出張手当は、必要経費に算入されない。

一方、法人の場合には、社長や役員、家族従業員に対して支払う出張手当についても、一定の範囲内で損金に算入することが認められている。

旅費交通費をもらう側

非課税所得

旅費交通費は、所得税法上、非課税所得とされている。

ただし、業務上必要と認められる範囲の支出で、合理的な金額でなくてはならない。

常識を超える金額は、税法上、給与とみなされ、所得税の課税対象となる。

消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分

課税取引

旅費交通費は、交通機関の利用や宿泊サービスの提供などに対する対価であり、原則として課税取引に該当し、消費税の課税対象となる(仕入税額控除の対象となる)。

ただし、海外出張の旅費(航空運賃)は免税取引として消費税が免除され、また、宿泊費・日当などは国外取引として不課税(対象外)である。

参考:No.6551 輸出取引の免税|消費税|国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6551.htm

消費税法基本通達
(出張旅費、宿泊費、日当等)
11-2-1 役員又は使用人(以下「使用人等」という。)が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族(以下11-2-1において「退職者等」という。)がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、事業者がその使用人等又はその退職者等に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱う。
(注)
1 「その旅行について通常必要であると認められる部分の金額」の範囲については、所基通9-3《非課税とされる旅費の範囲》の例により判定する。
2 海外出張のために支給する旅費、宿泊費及び日当等は、原則として課税仕入れに係る支払対価に該当しない。

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