地代家賃
地代家賃とは
地代家賃の定義・意味など
地代家賃(ちだいやちん)とは、事務所・店舗・工場・社宅などの建物の家賃・共益費や、月極駐車場使用料その他土地の使用料など、建物や土地を賃借した場合に支払う賃料を処理する費用勘定をいう。
地代家賃の別名・別称・通称など
不動産賃借料・支払家賃
不動産賃借料または支払家賃という勘定科目を使用することもある。
法人・個人の別
法人・個人
地代家賃は法人・個人で使用される勘定科目である。
地代家賃の範囲・具体例
共益費
共益費を支払った場合は、地代家賃勘定で処理をする。
水道代・ガス代
水道代・ガス代等を共益費として一括して支払っている場合などにも、地代家賃勘定に含めて処理してもよい。
ただし、水道、ガスなどの明細がわかっているときは、水道光熱費勘定で処理したほうが望ましいといえる。
駐車場代
月極駐車場代は地代家賃勘定で処理をする。
ただし、一時的に駐車場を借りる場合(駐車料金1時間単位のものなど)は、旅費交通費勘定で処理する。
他の勘定科目との関係
賃借料
リース料と地代家賃をあわせて賃借料という勘定科目を使用することもある。
ただし、土地・建物の賃借は地代家賃勘定を使用するのが一般的である。
リース料
機械・器具備品のレンタルやリース(→所有権移転外ファイナンスリース取引・オペレーティングリース取引)についてはリース料勘定を使用するのが一般的である。
地代家賃の決算書における位置づけ等
地代家賃の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費 > 地代家賃
事務所や店舗などに利用する不動産の地代家賃は、販売費及び一般管理費となるが、工場など製造業務で使用する不動産の地代家賃については、製造経費となる。
区分表示
販売費及び一般管理費
地代家賃は、「会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用」なので、販売費及び一般管理費に属するものとして表示する。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(販売費及び一般管理費の範囲)
第八十四条 会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。
金融庁総務企画局 『「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)』
84 規則第84条に規定する販売費及び一般管理費に属する費用とは、会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用例えば販売手数料、荷造費、運搬費、広告宣伝費、見本費、 保管費、納入試験費、販売及び一般管理業務に従事する役員、従業員の給料、賃金、手当、 賞与、福利厚生費並びに販売及び一般管理部門関係の交際費、旅費、交通費、通信費、光熱費及び消耗品費、租税公課、減価償却費、修繕費、保険料、不動産賃借料及びのれんの償却額をいう。
地代家賃の会計・簿記上の取り扱い
会計処理
費用の認識基準
発生主義または現金主義
地代家賃の支払いは契約によりそのほとんどが前払いとされている(たとえば、翌月分を当月末日までに支払うなど)。
地代家賃を前払いしている場合は、発生主義により、原則としては前払地代家賃(または前払費用)勘定などで処理をするということになるが、継続適用を前提にして(継続性の原則)、現金主義により、支払時にすべて地代家賃勘定などで費用処理をする(ただし、支払った日から1年以内のものに限る)ことが認められている(詳細については後述)。
使用する勘定科目・仕訳の仕方
不動産を賃借する場合には、賃料以外にも以下のとおりさまざまな支出項目があるため、それぞれ適切な勘定科目を使用して会計処理を行う必要がある。
建物
保証金・敷金
保証金や敷金は差入保証金勘定などで資産計上する。
解約時に返還されない権利金・礼金
解約時に返還されない権利金・礼金は税法独自の繰延資産に該当するため、長期前払費用または権利金勘定などで資産計上したあと、一定の期間で償却する。
不動産業者の仲介手数料
不動産業者の仲介手数料は支払手数料勘定で費用処理をする。
土地
権利金
土地の賃貸借契約時に支払う権利金は、借地権として資産計上する。
不動産業者の仲介手数料
不動産業者の仲介手数料は支払手数料勘定で費用処理をする。
地代や家賃を一括で前払いした場合
地代や家賃は、半年や1年単位で一括して前払いする場合があるが、この場合、期末で前払となっている部分については、原則として、前払地代家賃(または前払費用)や長期前払費用勘定で資産計上する(後述)。
更新料
更新料は税法独自の繰延資産であるので、会計上の処理としては長期前払費用として計上したうえ、貸借対照表の表示区分として「投資その他の資産」に表示することになる。
期末(決算時)等
決算整理事項(決算整理仕訳)
地代家賃については、発生主義にもとづき、原則として、期末に決算整理事項のひとつとして費用の繰延(費用法を採用している場合)または費用の見越を行う。
費用の繰延
当期に費用として支払った金額に次期以降の期間に対する費用が含まれている場合、原則として期末に未経過分を資産計上して費用の繰延をする必要があるので、次の3つの部分に分けて処理をする。
- 当期の費用となる部分…地代家賃
- 決算期後1年以内に費用となる部分…前払地代家賃または前払費用
- 決算期後1年を超えて費用となる部分…長期前払費用
ただし、重要性の原則から、重要性の乏しいものについては、継続適用を前提にして、支払時にすべて費用処理をすることが認められ、前払費用(つまり、資産)に計上しなくてもよいとされている。
換言すれば、地代家賃などの前払費用については、費用の認識基準として、原則とされる発生主義ではなく、現金主義が例外的に認められているということである。
企業会計原則
重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用される。
重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。
…
(2) 前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる。
なお、税務上も、この企業会計上の重要性の原則に基づく会計処理が認められ、短期の前払費用について、収益との厳密な期間対応による繰延経理をすることなく、その支払時点で必要経費または損金に算入をすることが認められている。
短期前払費用の取扱いについて|法人税目次一覧|国税庁 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/02/03.htm
所得税基本通達
(短期の前払費用)
37-30の2 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するもの をいう。以下この項において同じ。)の額はその年分の必要経費に算入されないのであるが、その者が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する年分の必要経費に算入しているときは、これを 認める。
法人税基本通達
(短期の前払費用)
2-2-14 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するも のをいう。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。
費用の見越
当期の費用として計上すべきであるが、次期以降にその支払を行うため当期の費用として計上されない場合、費用収益対応の原則から、当期に計上すべき費用を、次期以降に支払うことを見越して当期の費用に計上する会計処理(費用の見越)を行う。
具体的には、地代家賃勘定(費用)の借方に記帳して当期の損益計算に計上するとともに、未払地代家賃(または未払費用)勘定(負債)の貸方に記帳して貸借対照表の負債の部に計上する。
なお、支払日が到来しているのに未払いの地代家賃がある場合には、未払金勘定で処理をする。
企業会計原則
(3) 未払費用
…、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴い既に当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。
ただし、重要性の原則から、重要性の乏しいものについては、継続適用を前提にして、負債に計上しなくてもよいとされている(つまり、わざわざ未払費用に振り替える必要はない)。
企業会計原則
重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用される。
重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。
…
(2) 前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる。
取引の具体例と仕訳
更新料
更新料を支払った場合は、長期前払費用として処理し、その後、決算日ごとに償却していくことになる。

事務所の更新料を支払った。

| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 長期前払費用 |
××××
|
普通預金 |
××××
|
地代家賃の税法上の取り扱い
必要経費算入・損金算入の可否
地代家賃は、事業のために使用する土地や建物の賃借に係る費用であるため、原則として必要経費または損金に算入される。
ただし、個人事業主については、事業と家事のために共通して使用している場合には、事業に使用した部分のみが必要経費に算入される。
また、所得税法56条は「生計を一にする」、つまり同居親族間での経費処理を認めていない。
したがって、たとえば、親の土地や建物などの不動産を利用して事業を行っている個人事業主が親に家賃等を払ったとしても、その家賃は税法上必要経費としては認められない。
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
課税取引
消費税は本来、資産の譲渡や役務の提供に広く課税されるが、一定の取引については政策的配慮から非課税とされている。
そのため、地代家賃は、土地や建物の賃借に係る対価であるが、その内容により消費税の取扱いが異なる。
すなわち、土地の賃借料は政策的配慮から非課税取引とされる。
これに対して、建物の賃借料は原則として課税取引に該当し、仕入税額控除の対象となる。
執筆者:ケーソルーション(2006年より本サイト運営)
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