簿記・勘定科目一覧ハンドブック(ケーソルーション)

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未払金

未払金とは

未払金の定義・意味など

未払金(みばらいきん)とは、通常の営業取引(商品の販売など)以外から発生した金銭債務(通常の営業取引以外の取引における代金の未払金)と通常の営業取引から発生した買掛金以外の金銭債務(通常の営業取引における買掛金以外の未払金)を処理する負債勘定をいう。

法人・個人の別

法人・個人

未払金は法人・個人で使用される勘定科目である。

未払金の科目属性

負債

未払金は債務なので、負債勘定である。

未払金の範囲・具体例

未払金の具体例

未払金として処理をするものとしては、具体的には、次のようなものがある。

  • 有価証券の購入代金の未払金
  • 固定資産等の購入代金の未払金
    • 事務用消耗品費、車両運搬具(自動車)、機械装置、工具器具備品(←営業取引ではない)などのモノ(←継続した役務の提供ではない)を後払いで購入した場合
  • 電気・ガス・水道料金(水道光熱水費)、交通費、交際費、広告料、販売手数料、売上割戻金など諸経費の未払い金
  • 毎月末日締めの翌月10日払いの給料 ←継続した役務の提供ではない
  • 外注加工費の未払金
  • 利払日が経過した社債利息の未払分の計上(※簿記のテキストによく出る例)←継続した役務の提供ではない
  • その他未払いの給与・役員報酬・退職金・工事代金 ←継続した役務の提供ではない
  • 割賦金・クレジットカード払いなど ←継続した役務の提供ではない
  • 未払給与
  • 租税公課の未納税額

未払給与

中小企業などで、資金繰りの都合で支給日に給与を正しく支給できず、支払いを遅らせる場合がある。

この場合、支払期日は到来しているので、給与の未払金は未払金勘定で処理をする。

租税公課の未納税額

租税公課を損金経理により未払計上する場合、必要経費または損金に算入できる租税公課の未納税額は未払税金勘定で処理するが、未払税金の代わりにより一般的な勘定科目である未払金勘定で処理することもある。

ただし、後述するように租税公課の未納税額は未払税金勘定で処理したほうが望ましい。

他の勘定科目との関係

買掛金

買掛金も未払金もともに代金の未払金という点で共通するが、仕入れ先との通常の営業取引から発生した金銭債務については買掛金として明確に区分して処理をする。

未払費用
未払金と未払費用との違い

取引の継続性・債務の確定の有無

未払費用とは、経過勘定項目のひとつであるが、企業会計原則では、次のように定義されている。

企業会計原則
〔注5〕経過勘定項目について
(3) 未払費用
未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対して、いまだその対価の支払が終らないものをいう。
したがって、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴いすでに当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。
また、未払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。

つまり、会計上の原則からは、取引の継続性により、未払費用と未払金を区別する。

  • 継続的な取引 → 未払費用
  • 非継続的な取引 → 未払金

また、税法上、確定債務であれば経費にできる(必要経費算入または損金算入できる)(所得税法37条・法人税法22条3項2号)(→債務確定主義)ので、債務の確定の有無(支払期日の到来の有無)により、未払費用と未払金を区別する場合もある。

  • 確定債務 → 未払金
  • 未確定債務 → 未払費用

ただし、税務上は債務が確定しているかどうかが重要であって、両者は特に区別されていない。

したがって、実務では、未払いの費用はすべて未払費用勘定で処理する。

ただし、この処理は本来は適切な処理とはいえない。

長期未払金

決算日の翌日から1年を越えて支払期日が到来するものは、長期未払金勘定で処理をする場合もある。

未払金勘定として処理してもよいが、 長期未払金として区別して管理したほうがよい。

未払税金・未払配当金・未払役員賞与

未払金には、未払税金未払配当金未払役員賞与などもあるが、これらはそれぞれ独立した科目で処理するほうが望ましいとされている。

財務諸表等規則でも、未払配当金、または、期限経過の未償還社債で、その金額が負債と純資産の合計額の5/100を超えるものについては、当該負債を示す名称を付した科目をもつて別に掲記しなければならないとされている。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(流動負債の区分表示)
第四十九条 ...ただし、未払配当金又は期限経過の未償還社債で、その金額が負債及び純資産の合計額の百分の五を超えるものについては、当該負債を示す名称を付した科目をもつて別に掲記しなければならない。

未払金と関係する概念

反対概念・対概念
未収金

営業取引から発生した債権債務は売掛金(債権)と買掛金(債務)勘定で処理するが、営業取引以外から発生した債権債務については未収金(債権)と未払金(債務)勘定で処理する。

未払金の目的・役割・意義など

会計上の費用収益対応の原則の要請

税法上、販売費及び一般管理費については、債務が確定していれば、期末までに支払っていなくても未払計上する(必要経費算入・損金算入する)ものとされている(債務確定主義)。

費用収益対応の原則の見地からも、未払計上できるものはもれなく拾い出すようにする。

所得税法
(必要経費)
第三十七条  その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

法人税法
(各事業年度の所得の金額の計算)
第二十二条  …
 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一  当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二  前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三  当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

未払金の決算等における位置づけ等

未払金の財務諸表における区分表示と表示科目

(短期の未払金)

貸借対照表 > 負債 > 流動負債 > 未払金

(長期の未払金)

貸借対照表 > 負債 > 固定負債 > 未払金(または長期未払金)

区分表示
流動負債・固定負債

未払金は、1年基準(ワン・イヤー・ルール)により処理をされ、短期(決算日の翌日から起算して1年以内に支払期限が到来するもの)は流動負債に属し、長期(決算日の翌日から起算して1年を超えて支払期限が到来するもの)は固定負債に属するものとして表示する。

企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
 …
 貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。

会社計算規則
(負債の部の区分)
第七十五条  …
 次の各号に掲げる負債は、当該各号に定めるものに属するものとする。
 次に掲げる負債 流動負債

 通常の取引に関連して発生する未払金又は預り金で一般の取引慣行として発生後短期間に支払われるもの

表示科目
未払金

通常の営業取引以外から発生した金銭債務をすべて未払金勘定で処理をすると、その範囲が大きくなる。
そこで、明瞭性の原則による要請から、残高に重要性がある場合には、その債務の内容を示す名称を付して、区分して表示する。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(流動負債の区分表示)
第四十九条  流動負債に属する負債は、次に掲げる項目の区分に従い、当該負債を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。…

 未払金

 前項の規定は、同項各号の項目に属する負債で、別に表示することが適当であると認められるものについて、当該負債を示す名称を付した科目をもつて、別に掲記することを妨げない。

未払金の会計・簿記上の取り扱い

会計処理

使用する勘定科目・仕訳の仕方
期中(購入・取得時)

通常の営業取引以外、または通常の営業取引であるが買掛金以外の未払金が発生したときは、未払金勘定(負債)の貸方に記帳して負債計上する。

期末(決算時)

期末においても未払いの社債利息があるとき

利払日が経過したにもかかわらず、社債権者から利札の呈示がないために、期末においてもまだ未払いの社債利息があるときは、決算時に未払金勘定(負債)の貸方に記帳して負債計上する。

未払金の管理

月々の未払金の支払いが継続して発生する、あるいは多い場合には、別途エクセルなどで未払金管理表の類を作成して管理すると便利である。

取引の具体例と仕訳

期中(購入・取得時)
通常の営業取引における買掛金以外の未払金

取引

消耗品を購入し、代金は翌月払いとした。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
消耗品費 ✕✕✕✕ 未払金 ✕✕✕✕

(クレジットカード)

個人事業主が必要経費を支払うためクレジットカードを使用したとき

借方科目金額貸方科目金額
新聞図書費
✕✕✕✕
未払金
✕✕✕✕

仕入の場合は買掛金勘定を用いることに注意。

ETCを利用したとき

取引

ETCにより高速道路代をクレジットカードで支払った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
旅費交通費 ✕✕✕✕ 未払金 ✕✕✕✕

クレジットカードによる支払い分が口座から引き落とされたとき

(事業用の口座名義から引き落とされた場合)

借方科目金額貸方科目金額
未払金
✕✕✕✕
普通預金
✕✕✕✕

(個人用の口座名義から引き落とされた場合)

借方科目金額貸方科目金額
未払金 ✕✕✕✕ 事業主借
✕✕✕✕

分割にしたため手数料が発生するとき

借方科目金額貸方科目金額
支払手数料
✕✕✕✕
普通預金
✕✕✕✕

個人事業主が個人的な支払いのため事業用のクレジットカードを使用したとき

借方科目金額貸方科目金額
事業主貸
✕✕✕✕
未払金
✕✕✕✕

期末(決算時)

取引

決算にあたり、社債利息の未払分を計上した。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
社債利息 ✕✕✕✕ 未払金 ✕✕✕✕

未払金の税法上の取り扱い

消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分

不課税取引(課税対象外)

未払金は負債勘定であり、それ自体は資産の譲渡や役務の提供に該当しないため、不課税取引となる。

ただし、実際の消費税の判定は未払金の内容となっている取引に基づいて行う必要がある。

なわち、備品の購入や外注費など課税仕入に該当するものについては課税仕入となり、給与や租税公課など消費税の対象外となるものについては不課税取引として処理する。

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