簿記・勘定科目一覧ハンドブック(ケーソルーション)

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広告宣伝費

広告宣伝費とは

広告宣伝費の定義・意味など

広告宣伝費(こうこくせんでんひ)とは、不特定多数の人(=一般消費者)を対象に、商品・製品やサービスの販売促進を目的とした広告宣伝、求人の広告宣伝、会社のイメージアップを目的とした広告宣伝、決算公告に支出する費用を処理する費用勘定をいう。

法人・個人の別

法人・個人

広告宣伝費は法人・個人で使用される勘定科目である。

広告宣伝費の範囲・具体例

広告宣伝費の範囲
広告宣伝の媒体

広告宣伝の媒体(メディア)には、テレビ・新聞・雑誌などのマスコミ(マスメディア)、ポスターやチラシなどの印刷物、看板・広告塔などの屋外媒体のほか、試供品の頒布、インターネット(ホームページ)などさまざまなものがある。

これらに関する制作費用・掲載費用・発送費用などが広告宣伝費となる。

広告宣伝費の具体例

広告宣伝費として処理をするものとしては、具体的には、次のようなものがある。

  • 広告掲載費用
    • テレビ広告代
    • ラジオ広告代
    • 新聞広告代
    • 雑誌広告代
    • 地域情報紙などの広告掲載費用
    • 看板・広告塔・ネオンサイン・アドバルーン・電車吊り広告などの広告掲載費用
    • 電柱広告掲載費用
    • 電話帳広告掲載費用
  • ポスター・チラシ・パンフレット・カタログ等の費用
  • 会社案内の費用
  • 新聞折込代金
  • ダイレクトメールの郵送料
  • ホームページ作成費用
  • バナー広告費用
  • 試供品(サンプル品)の費用
  • 見本品の費用
  • 営業活動で配布するカレンダー・手帳・扇子・うちわ・手拭い・タオル・ボールペン・ポケットティッシュ・ライターなどの費用
  • キャンペーンの費用
  • 展示会・講演会などの開催費用
  • 広告宣伝のためのクイズや懸賞の賞金・賞品の費用
  • 求人広告の費用
  • 株主関連広告の費用
  • 協賛金
  • 官報公告
  • アフィリエイト

ダイレクトメールの郵送料

ダイレクトメールの郵送料は、郵便料金自体は通信費に該当するが、支出の目的から勘案し、広告宣伝費勘定で処理したほうが妥当である。

ただし、金額が小さい場合は通信費勘定で処理してもよい。

カレンダー・手帳・扇子・うちわ・手拭い・タオル・ボールペン・ポケットティッシュ・ライターなどの費用

営業活動で不特定多数の人に配布するカレンダー・手帳・扇子・うちわ・手拭い・タオル・ボールペン・ポケットティッシュ・ライターなどの費用は広告宣伝費勘定で処理する。

なお、これらは、租税特別措置法および措置法を受けた租税特別措置法施行令で交際費の範囲から除外されているので、交際費勘定で処理することはできない。

名刺を作成(印刷)した場合

名刺を作成(印刷)した場合、広告宣伝費で処理する場合もある。

電話帳広告掲載費が電話使用料とまとめて請求された場合

電話帳広告掲載費の分は広告宣伝費として処理をし、通信費として処理しないように注意する。

協賛金

広告宣伝効果のある協賛金は、広告宣伝費勘定で処理をする。

ただし、その効果のない協賛金については、寄付金勘定で処理をする。

アフィリエイト

アフィリエイトの支払いは、広告宣伝費勘定で処理をする。

なお、アフィリエイトを受け取った側は雑収入勘定などで処理をする。

他の勘定科目との関係

交際費

特定の人(特定できる大口消費者・得意先等)を対象とするものは、原則として交際費として処理をする。

したがって、たとえば、一般の不特定の人を対象にした抽選によるスポーツ観戦や温泉旅行などの招待、見本品・試用品、工場見学などで行われる試食・試飲にかかる費用は、広告宣伝費で処理をする。

また、取引先を介して不特定多数の人の手に渡るカレンダー・手帳・扇子・うちわ・手拭い・タオルなどの販促グッズなどにかかる費用も広告宣伝費となる。

これに対して、取引先の社長をスポーツ観戦や観劇などに招待した場合は交際費で処理をする。

販売促進費

広告宣伝費は不特定多数の人(=一般消費者)を対象とした販売促進費用(商品・製品やサービスの販売の促進を目的に支出する費用)等を管理する科目である。

これに対して、販売促進費は販売促進費用全般を管理する科目である。

しかし、両者は明確に区分されておらず、販売促進費を広告宣伝費として処理する場合もある。

なお、直接的に販売の促進を目的とする費用は販売促進費、間接的に販売の促進を目的とする費用は広告宣伝費で処理をするという考え方もある。

ソフトウェア

作成費用(たとえば、ホームページ作成費用)のなかにプログラム(システム)の作成費用が含まれるものについては、減価償却資産のひとつとしての無形固定資産としてソフトウェア勘定を使用して資産計上し、耐用年数5年で減価償却をする。

広告宣伝費勘定の決算等における位置づけ等

広告宣伝費の財務諸表における区分表示と表示科目

損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費 > 広告宣伝費

区分表示
販売費及び一般管理費

広告宣伝費は、「会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用」なので、販売費及び一般管理費に属するものとして表示する。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(販売費及び一般管理費の範囲)
第八十四条  会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。

金融庁総務企画局 『「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)』
84 規則第84条に規定する販売費及び一般管理費に属する費用とは、会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用例えば販売手数料、荷造費、運搬費、広告宣伝費、見本費、 保管費、納入試験費、販売及び一般管理業務に従事する役員、従業員の給料、賃金、手当、 賞与、福利厚生費並びに販売及び一般管理部門関係の交際費、旅費、交通費、通信費、光熱費及び消耗品費、租税公課、減価償却費、修繕費、保険料、不動産賃借料及びのれんの償却額をいう。

所得税の青色申告決算書(損益計算書)記載の勘定科目の当否

広告宣伝費は所得税の青色申告決算書(損益計算書)の経費欄にも印刷されている一般的な勘定科目である。

広告宣伝費の会計・簿記上の取り扱い

会計処理

使用する勘定科目・仕訳の仕方
期中

広告宣伝に要した費用は、広告宣伝費勘定の借方に記帳して費用計上するとともに、現金預金や未払金などを貸方に計上する。

期末(決算時)

資産計上

販売代理店用に配布するカタログで期末に未使用のものがあれば、資産計上する(貯蔵品勘定に振り替える)ことが望ましい。

具体的には、棚卸しによって決定された未使用のカタログ等を広告宣伝費勘定の貸方に記帳するとともに貯蔵品勘定の借方に記帳して資産に計上する。

ただし、税法上は、毎期おおむね一定数量を継続的に取得・消費をするものについては、貯蔵品として、資産計上する必要はないとされている。

また、少額のものは、あえて貯蔵品に振り替える必要はない。

翌期首

振替処理

資産計上した場合、翌期首には、前期の期末在庫を広告宣伝費勘定の借方に記帳するとともに貯蔵品勘定の貸方に記帳して振替処理を行う(費用に振り替える)。

資産計上

販売促進に不可欠の費用としての広告宣伝費は必要経費または損金に算入できるが、かかった費用のすべてを広告宣伝費として費用処理できるわけではなく、以下の場合は資産として計上しなければならない。

減価償却

看板、広告塔などで、耐用年数1年以上で取得価額10万円以上のものは、構築物や器具備品などとして固定資産に計上し減価償却の対象としなければならない。

ただし、青色申告者が30万円未満のものを取得した場合については例外がある。

繰延資産の計上

特約店などに宣伝用の陳列棚などの資産を贈与した場合の費用は、その効果が1年を越えて及ぶので、税法上の繰延資産に計上し、償却していくことになる。

なお、この場合、長期前払費用などの科目を用いて処理をする。

取引の具体例と仕訳

期中
一般的な取引の場合

(雑誌広告代)

取引

雑誌に商品の広告を掲載した。掲載料は銀行振込により支払った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
広告宣伝費 ✕✕✕✕ 普通預金 ✕✕✕✕

(地域情報紙などの広告掲載費用)

取引

地域情報紙に商品の広告を掲載し、その掲載料を銀行振込で支払った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
広告宣伝費 ✕✕✕✕ 普通預金 ✕✕✕✕

(ダイレクトメール

取引

ダイレクトメールを発送し、その郵便料金を現金で支払った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
広告宣伝費 ✕✕✕✕ 現金 ✕✕✕✕

(営業活動で配布するカレンダー)

取引

年末年始に取引先に配布する自社のカレンダーを製作(印刷)し、代金を銀行振込で支払った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
広告宣伝費 ✕✕✕✕ 普通預金 ✕✕✕✕

(キャンペーンの費用)

取引

キャンペーン用のプレゼント用品を現金で購入した。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
広告宣伝費 ✕✕✕✕ 現金 ✕✕✕✕

(求人広告の費用)

取引

求人広告を出し、その費用を現金で支払った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
広告宣伝費 ✕✕✕✕ 現金 ✕✕✕✕

期末(決算時)等
資産計上

取引

期末の棚卸しで費用処理をしていた未使用の商品カタログを確認したので、資産計上した。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
貯蔵品 ✕✕✕✕ 広告宣伝費 ✕✕✕✕

翌期首
振替処理

取引

翌期首に、前期の未使用の商品カタログの期末在庫の振替処理をした。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
広告宣伝費 ✕✕✕✕ 貯蔵品 ✕✕✕✕

広告宣伝費の税法上の取り扱い

必要経費算入・損金算入

広告宣伝費は、商品やサービスの販売促進等を目的として支出される費用であり、通常はその支出した時点で費用として処理される。

個人事業主の場合、広告宣伝費は、その支出した年分において必要経費に算入される。

法人の場合も同様に、広告宣伝費は、その支出した事業年度において損金に算入される。

広告宣伝費に該当する支出であっても、その効果が長期間に及ぶもの(看板の設置費用や広告用設備の取得費用など)は、固定資産として計上し、減価償却を通じて必要経費または損金に算入される。

消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分

課税取引

広告宣伝費は、広告掲載料や広告制作費、配布物の作成費用など、外部から役務の提供を受ける対価として支出されるものが多く、通常は課税仕入れに該当する。

したがって、広告宣伝費として支出した金額に係る消費税は、仕入税額控除の対象となる。

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