簿記・勘定科目一覧ハンドブック(ケーソルーション)

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減価償却費

減価償却費とは 【depreciation

減価償却費の定義・意味など

減価償却費(げんかしょうきゃくひ)とは、固定資産(減価償却資産)の取得価額を、その使用によって収益の獲得に貢献する期間(≑耐用年数)にわたり、各期に配分するための費用勘定をいう。

法人・個人の別

法人・個人

減価償却費は法人・個人で使用される勘定科目である。

減価償却費の意義・目的

取得価額の期間配分

減価償却費は、通常の(具体的にイメージできる)消耗品費や備品費のように支出と対応して直接認識される費用とは異なり、会計上の要請から生じた抽象的な費用観念である。

簿記的な考え方 に基づくならば、本来、固定資産の取得時に支出額をそのまま記録すれば足りる。

しかし、会計では費用収益対応の原則に基づき、一時の支出として処理せず、その取得価額を使用期間にわたって配分する。

そして、そのために生まれたのがこの減価償却費である。

つまり、減価償却費は、資産の価値の減少を記録するためのものではなく、費用配分の結果として、資産の帳簿価額を減少させる(貸方)とともに、その取得価額を各使用期間に配分して費用化する(借方)ための会計処理上の費用である。

非現金支出費用

減価償却費は非現金支出費用(現金支出を伴わない費用)であり、各期間で現金の支出を伴わない。

ただし、キャッシュフローを増加させるものではなく、過去の投資額を費用配分しているにすぎない。

減価償却費勘定の決算等における位置づけ等

減価償却費の財務諸表における区分表示と表示科目

減価償却費は、一般には販売費及び一般管理費として表示される。

ただし、製造業などにおいては、製造に使用する資産に係る減価償却費は製造原価に含めて処理する。

損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費 > 減価償却費

区分表示
販売費及び一般管理費

減価償却費は、「会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用」なので、販売費及び一般管理費に属するものとして表示する。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(販売費及び一般管理費の範囲)
第八十四条  会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。

金融庁総務企画局 『「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)』
84 規則第84条に規定する販売費及び一般管理費に属する費用とは、会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用例えば販売手数料、荷造費、運搬費、広告宣伝費、見本費、 保管費、納入試験費、販売及び一般管理業務に従事する役員、従業員の給料、賃金、手当、 賞与、福利厚生費並びに販売及び一般管理部門関係の交際費、旅費、交通費、通信費、光熱費及び消耗品費、租税公課、減価償却費、修繕費、保険料、不動産賃借料及びのれんの償却額をいう。

表示方法

減価償却費の表示には、貸倒引当金の表示の場合と同様、次の3つの方法がある。

  1. 科目別間接控除法
  2. 一括間接控除法
  3. 直接控除注記法

実務上では、手間を省くために、一般には一括間接控除法で記載される。

減価償却費の会計・簿記上の取り扱い

会計処理

会計処理のポイント
会計と税法の関係

減価償却費は会計上は費用配分の問題であるが、税法上は損金算入額が制限されるため、実務上は税法に基づいて計算されることが多い。

したがって、次のような点に留意して会計処理を行うことになる。

  • 減価償却資産に該当するかどうか(固定資産か費用かの判定)
  • 減価償却費の計算方法
    • 取得価額の範囲(付随費用を含めるか)
    • 耐用年数の選定(税法上の法定耐用年数の使用)
    • 償却方法の選択(定額法・定率法など)
  • 損金算入の可否(償却限度額の範囲内か)

減価償却費の計算

減価償却費の計算では、①取得価額②耐用年数③減価償却の方法(償却方法)の3つが構成要素となる。

なお、理論上は上記に加えて「残存価額」を考慮するが、実務上は残存価額をゼロまたはごく少額として取り扱うことが多いのでここでは省略する。

ただし、会社の恣意的な経理による利益操作や租税回避行為を防止するため、税法では資産の種類ごとに②耐用年数と③減価償却の方法を詳細に規定している。

①取得価額

減価償却の基礎となる取得価額には、資産の購入代金のほか、その資産を使用可能な状態にするために直接要した付随費用を含める。

具体的には、運送費、荷役費、据付費、試運転費、仲介手数料などがこれに該当する。

これらの費用は単独の費用として処理するのではなく、固定資産の取得価額に含めて資産計上し、減価償却を通じて各期に配分する。

一方、維持管理費や修繕費など、資産の取得後に通常発生する費用は取得価額には含めず、発生時の費用として処理する。

②耐用年数

前述した理由から、固定資産の耐用年数については、税法上の法定耐用年数が用いられることがほとんどである。

③減価償却の方法(償却方法)

減価償却費は、選択した償却方法に応じて各期に配分される。

主な償却方法には、取得価額を毎期均等に配分する定額法と、帳簿価額に一定率を乗じて早期に多く償却する定率法がある。

いずれの方法を採用するかは原則として任意であるが、税法上は資産の種類ごとに採用できる償却方法や届出の要否が定められている。

また、一度採用した償却方法は継続して適用することが原則であり、恣意的に変更することは認められない。

減価償却費の記帳方法
直説法と間接法

減価償却費の記帳方法には、減価償却費を固定資産の勘定から直接減少させる直接法と、減価償却費を毎期減価償却累計額勘定(評価勘定)に累積していく間接法とがある。

使用する勘定科目・仕訳の仕方
減価償却資産の取得

減価償却資産を取得した場合には、その取得価額を固定資産として資産計上するとともに、その支払方法に応じて、貸方には現金、普通預金、未払金等を計上する。

期末(決算時)等

決算整理事項(決算整理仕訳)

決算にあたっては、決算整理事項のひとつとして減価償却費を計上する。

なお、税法上も減価償却を損金とするには減価償却費として損金処理する必要がある。

具体的には、直接法をとった場合には、減価償却費を減価償却費勘定の借方に記帳して費用計上するとともに、該当する固定資産の勘定の貸方に記帳して固定資産の勘定から減価償却費を直接減少させる。

これに対して、間接法をとった場合には、減価償却費を減価償却費勘定の借方に記帳して費用計上するとともに、減価償却累計額勘定の貸方に記帳する。

その他

次のような場合は、減価償却費勘定を使用して適切な会計処理を行う必要がある。

  • 固定資産の売却
  • 有形固定資産の買換
  • 有形固定資産の除却
  • 有形固定資産の滅失

取引の具体例と仕訳

減価償却資産の取得時

取引

業務用の機械を購入した。購入代金100万円のほか、運送費5万円、据付費10万円を銀行振り込みで支払った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
機械装置 1,150,000 普通預金 1,150,000

期末(決算時)等
決算整理事項(決算整理仕訳)

直接法による場合

取引

決算にあたり、減価償却費について直接法により決算整理仕訳を行った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
減価償却費 ✕✕✕✕ 車両運搬具 ✕✕✕✕

間接法による場合

取引

決算にあたり、減価償却費について間接法により決算整理仕訳を行った。

仕訳

借方科目
金額
貸方科目
金額
減価償却費 ✕✕✕✕ 減価償却累計額 ✕✕✕✕

減価償却費の税法上の取り扱い

必要経費算入・損金算入

減価償却費は、固定資産の取得価額をその耐用年数にわたって配分するものであり、各期に費用として認識される。

個人事業主の場合、減価償却費は、法令に定める方法により計算した金額について、その年分の必要経費に算入される。

ただし、減価償却費は任意計上とされており、計上しなかった場合には、その年分の必要経費には算入されない。

法人の場合は、減価償却費は、償却限度額の範囲内で計上した金額が、その事業年度の損金に算入される。

消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分

不課税取引(課税対象外)

消費税法上、減価償却費は不課税取引として消費税の課税対象外である。

強制消却と任意償却

所得税法上の取り扱い
強制償却

所得税法上、個人事業主では減価償却は強制償却であり、減価償却費を計上しないことは認められない。

法人税法上の取り扱い
任意償却

法人税法上では任意償却制度が採用されているので、償却限度額の範囲内であれば減価償却費の計上額を選択することができる。

また、赤字決算となる場合には減価償却費を計上しないこともできる。

償却限度額

減価償却費の計上は、本来その企業の任意で決められるものである(任意償却制度)。

しかし、法人税法上、無制限に損金算入はできない。

すなわち、償却限度額に達するまでの金額が費用となり、限度額を超えて減価償却をしても費用とは認められない。

そのため、一般的には税制に則して計算され、結局、償却限度額と同額の減価償却を実施することになる。

なお、償却限度額を超えて損金経理した場合は、この償却超過額については、法人税の確定申告において、加算による申告調整の対象となる。

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