(ケーソルーション)簿記・勘定科目一覧ハンドブック

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給与手当(給料手当・給料・給与)

給与手当とは

給与手当の定義・意味など

給与手当(きゅうよてあて)とは、所得税法上の給与所得のうち、雇用契約にもとづき(役務・労働の対価として)従業員(使用人)に支払われる給与等(基本給・賞与・諸手当)その他や金銭以外の経済的利益(=現物給与)を処理する費用勘定をいう。

法人・個人の別

法人・個人

給与手当は法人・個人で使用される勘定科目である。

給与手当の別名・別称・通称など

給料手当・給料・給与

給与手当は給料手当(きゅうりょうてあて)・給料(きゅうりょう)・給与(きゅうよ)とも表記される。

給与手当の目的・役割・意義など

給与等(「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与」)は所得税法上給与所得として取り扱われている。

給与等は源泉徴収をする必要がある。

所得税法
(給与所得)
第二十八条 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。

しかし、給与等の会計上の取扱いについては、役員、使用人兼務役員、従業員(使用人)とでは異なる。

そこで、会計上、従業員の給与等は役員などの給与等とは区別して給与手当勘定を用いる。

給与手当の範囲・具体例

給与手当には、次のようなものが含まれる。

なお、給与手当は個人事業における青色事業専従者給与や事業専従者控除額も含む。

また、使用人兼務役員に対して支払う場合、使用人分としての報酬・手当についても本勘定を使用する。

ただし、賞与については、別途、賞与勘定で処理する場合もある。

    • 金銭
      • 原則的規定…所得税法第28条
        • 給与等
          • 基本給(「俸給・給料・賃金・歳費」)
          • 賞与
          • 上記の性質を有するもの
            • 諸手当
              • 通勤手当
                • 定期券代
                • 高速道路代など
              • 残業手当(時間外手当)
              • 住宅手当
              • 役職手当など
            • みなし給与
              • 養老生命保険・定期保険・定期付養老生命保険の掛金
              • 永年勤続表彰でもらう金銭
              • いわゆる渡切交際費
      • 例外的規定(個人事業の場合)…所得税法第57条
        • 青色事業専従者給与
        • 事業専従者控除額
    • 経済的利益(現物給与)…所得税法第36条
      • 低額な社宅賃料

      詳細については、次のページを参照。

      給料手当(給与手当・給料・給与)―範囲・具体例

      賞与

      賞与は別途賞与勘定で処理してもよい。

      諸手当
      通勤手当

      通勤手当は給与手当に含まれる。

      しかし、所得税法上、通勤手当は原則として非課税所得とされており(所得税法9条)、また、消費税法上も通勤に通常必要であると認められる部分の金額は課税取引として仕入税額控除の対象となるので、他の給与手当とは区別して旅費交通費勘定で処理するのが一般的である。

      10万円を越える場合には、越えた部分の金額は給与等として所得税が課税される。

      また、通勤手当(または通勤費)勘定を別途設けて処理してもよい。

      出向

      出向者の給与等も給与手当勘定で処理してもよい。

      なお、出向者の数などが多く、別途管理したい場合には、たとえば給与負担金、出向者給与負担金、出向負担金といった名称の新しい勘定科目を設けるという方法もある。

        他の勘定科目との関係

        役員報酬

        役員に対して定期的に支払われる報酬(給与)については、役員報酬勘定を使用する。

        雑給

        労務費
        賃金

        工場労働者など製造に関わる人に支払われる給料は製造原価に含めるため、通常は賃金勘定で処理をする。

        給与手当の決算等における位置づけ等

        給与手当の財務諸表における区分表示と表示科目

        損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費 > 給与手当

        区分表示
        販売費及び一般管理費

        給与手当は販売費及び一般管理費に属するものとして表示する。

        財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
        (販売費及び一般管理費の範囲)
        第八十四条  会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。

        金融庁総務企画局 『「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)』
        84 規則第84条に規定する販売費及び一般管理費に属する費用とは、会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用例えば販売手数料、荷造費、運搬費、広告宣伝費、見本費、 保管費、納入試験費、販売及び一般管理業務に従事する役員、従業員の給料、賃金、手当、 賞与、福利厚生費並びに販売及び一般管理部門関係の交際費、旅費、交通費、通信費、光熱費及び消耗品費、租税公課、減価償却費、修繕費、保険料、不動産賃借料及びのれんの償却額をいう。

        給与手当の会計・簿記・経理上の取り扱い

        会計処理方法

        使用する勘定科目・記帳の仕方等
        給与を支払ったとき

        従業員に給与を支払ったときは給与手当勘定の借方に記帳して費用計上する。

        (法定控除等)

        従業員の給与・賞与はその全額を支給するのではなく、税金(源泉所得税・個人住民税)や社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料など)などを差し引いた額を支給する。

        ただし、給与手当勘定の借方に記帳して費用計上すべき金額は、控除後の手取り額ではなく、控除前の給料の全額である。

        他方、控除した額は預り金勘定(負債)の貸方に記帳して負債計上するとともに、従業員に実際に支払った額を現金預金勘定の貸方に記帳して減少させる。

        内容を明確にするため、所得税預り金勘定・住民税預り金勘定(または所得税預り金と住民税預り金とを合わせた税金預り金勘定)・社会保険料預り金勘定などを用いることもある。

        参考:『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、134項。

        そして、後日、会社等が従業員に代わって税務署や年金事務所に納付することになる。

        なお、源泉所得税は、扶養控除届出書を従業員に毎年書いてもらい、それにもとづき源泉徴収税額を計算する。

        個人住民税は、市役所から送られてくる1年間分の住民税の通知にもとづき記帳する。

        健康保険料と厚生年金保険料は、年金事務所から送られてくる標準報酬月額にもとづき記帳する。

        労働保険は、給与総額を一般保険料額表に照らし合わせたうえ記帳する。

        管理
        帳簿管理

        (補助簿の作成)

        給与手当は補助簿を設けて管理したほうがよい。

        取引の具体例と仕訳の仕方

        給料を支払ったとき

        取引

        従業員の給料を源泉所得税・個人住民税・社会保険料・社内預金の積立金を控除して銀行振込で支払った。

        仕訳

        借方科目
        金額
        貸方科目
        金額
        給料手当 ✕✕✕✕ 預り金(所得税) ✕✕✕✕
        預り金(住民税) ✕✕✕✕
        預り金(社会保険料) ✕✕✕✕
        預り金(社内預金) ✕✕✕✕
        普通預金 ✕✕✕✕

        源泉所得税を納付したとき

        取引

        従業員の給与から天引きしていた源泉所得税を現金で指定金融機関に納付した。

        仕訳

        借方科目金額貸方科目金額
        預り金 ✕✕✕✕ 現金 ✕✕✕✕

        給与手当の税務・税法・税制上の取り扱い

        給与手当の所得税法上の取り扱い

        給与所得
        源泉徴収・年末調整・申告不要制度の適用

        給与手当を処理するにあたっては、所得税法との関係も重要となる。

        前述したように、給与手当は、所得税法上は、給与所得として取り扱われる。

        税法上、給与所得者(サラリーマン)の所得税は、原則として、会社が毎月行う源泉徴収と、年末に行う年末調整によって確定するものとされており、自ら確定申告を行う必要はない。

        所得税に関しては、本来、申告納税方式が原則とされているが、所得税制上大多数となる給与所得者(サラリーマン)には、こうした例外的制度が適用される。

        必要経費算入(所得税法)・損金算入(法人税法)の可否

        従業員に対する給料や賞与は、全額必要経費または損金に算入できる。

        消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分

        原則
        不課税取引(課税対象外)

        労働の対価としての給料は原則として不課税取引である。

        例外
        課税取引

        例外的に、通勤手当現物給与は原則として仕入税額控除の対象となる。

        消費税法基本通達
        (通勤手当)
        11-2-2 事業者が使用人等で通勤者である者に支給する通勤手当(定期券等の支給など現物による支給を含む。)のうち、当該通勤者がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとした場合に、その通勤に通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱う。

        執筆者:ケーソルーション(2006年より本サイト運営)
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